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2012年6月13日掲載 |
2011年5月14日、カナダの銀行やクレジットカード会社が集まって作っているCBA(Canadian Banking Association)はNFCを活用したモバイルペイメントのガイドライン「Canadian NFC Mobile Payments Reference Model」を発行した。そして5月15日、カナダの通信事業者Rogersと銀行CBICがNFCを活用したモバイルペイメント提供に向けて提携していくことを発表した。 有益な情報を掲載しているNFCを活用したモバイルペイメントのガイドラインCBAが発行した「Canadian NFC Mobile Payments Reference Model」は133ページもあり、システムのことから導入に向けた店舗での取組みまで幅広く扱っており、カナダでのモバイルペイメント普及に向けたブループリントとなっている。ガイドラインというよりは仕様書に近い構成になっているが、カナダだけでなく全世界でモバイルペイメントを導入するにあたって有益となる情報が盛り込まれている。NFCを活用したモバイルペイメントの指南書としてここまできめ細かく書かれて公開された文書は世界でも稀である。
カナダRogersとCBICでのNFCモバイルペイメント2012年5月15日、カナダ最大の通信事業者Rogersと銀行CBICがNFCモバイルペイメントで提携することを発表した。 カナダではスマートフォンのデータプラン利用者の38%に相当する約250万人が日常生活においてモバイル・バンキングを利用している。またモバイルペイメントへの関心も高いことをRogers Innovation Reportが以下のような調査結果を発表している。
(図1)NFCモバイルペイメントに対応したブラックベリー端末 ![]() (写真提供:CBIC) いまだに不明瞭な通信事業者の儲け処〜カナダだけでなく全世界での課題Berg Insightの調査によると、2011年末時点で、全世界において390万台のNFC対応POSが出ており、2017年までには4,340万台まで拡大すると予測している。そして2017年までには北米(アメリカ、カナダ)の86%のPOSがNFC対応になると予測している。また、Juniper Researchでは2017年までに、NFCでの決済額は1,800億ドルに達するとの予測である。 今回カナダCBAが発行した「Canadian NFC Mobile Payments Reference Model」はNFCモバイルペイメントの詳細について解説してある。銀行やクレジットカード会社にとっては顧客の支払手段が増えることは非常に良いことであろう。そしてカナダの銀行やクレジットカードらが一堂に会しているCBAがガイドラインを策定してモバイルペイメント普及に向けて積極的に取り組んでいくことは顧客や店舗にとって良いことだろう。 一方で、通信事業者にとってはNFCモバイルペイメントが新たなビジネス機会となれるような模索はカナダだけでなく全世界の通信事業者の課題である。 カナダは、面積は世界2位だが、人口や約3,400万で隣国のアメリカのカリフォルニア州より少ない。携帯電話普及率は77%と先進国では低い方である。Rogersはカナダ最大の通信事業者であり、スマートフォンの普及に伴ってデータ通信ARPUの増加とポストペイド利用者増加で増収増益を達成している。そのような環境でRogersはVoIPサービス「Rogers One Number」を2011年12月に導入するなど付加価値サービスの提供に非常に積極的である。スマートフォンが拡大してきた市場環境に合わせて通信事業者(MNO)としてVoIPを提供するという新たな試みである。 【参考動画】 (参考)
*本情報は2012年6月11日時点のものである。 |
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