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2012年6月25日掲載 |
かつてフィリピンの携帯電話市場での人気ブランドは圧倒的にノキアだった。もちろん今でもノキアは人気あるブランドの1つである。フィリピンは中古携帯電話市場が盛況な為、ノキアは中古市場でも高値で売買されることもノキアがフィリピン市場において人気がある理由の1つである。 ノキアはここ数年、業績が低迷している。2012年6月14日には、第2四半期業績の下方修正とともに、2013年までに全世界で1万人の従業員削減計画を発表した。同社は今後Windows Phone「Lumia」シリーズと低価格端末事業に集中していくことも述べた。 フィリピン地場メーカー「Cherry Mobile」世界ではiPhoneやAndroidOSのスマートフォンが登場し始めた2000年代後半はノキア衰退のはじまりと言える。 付加価値サービスとしてのコンテンツも提供さらにCherry Mobileでは端末製造以外にも、付加価値サービス(Value Added Service:VAS)として音楽、メッセージサービス、オンラインショップ(着メロや壁紙などがダウンロードできる)サービス「Cherry Zone」も提供している。例えば、Cherry Mobileの端末を購入したユーザは購入後2か月間、無料でユニバーサルミュージックなどのアーティストの曲を80曲までダウンロードできる。 海外メーカーとも遜色ない端末冒頭でも述べたが、かつてフィリピン市場はノキアが圧倒的な人気ブランドであった。現在でも人気があるサムスンやソニーエリクソンなどの海外ブランドの端末も人気があり、端末価格も高い。中古市場でも海外メーカーの端末は人気があり、決して安くはない。 一方で、若者を中心に「Cherry Mobile」のような新興メーカーの端末が注目を集め、人気が出てきている。AndroidOSの端末もリリースしており、デザインや性能(クアルコムのSnapdragon 1.2 GHz Processor搭載)、機能(「GooglePlay」なども当然利用できる)では海外メーカーと遜色ないうえに、海外メーカーと比すると価格が安い(図1)。 子供向けのシンプルな端末「P1」も人気がある。子供向けと称しているが機能がシンプルなだけで大人が利用することも可能である。むしろキュートで若者に人気がある。子供向けだが、日本の「キッズケータイ」のようなGPSやブザーを搭載した安心安全をウリにした携帯電話ではない。機能がシンプルなだけである(図2)。同社のフィーチャーフォンは、MediaTekをベースにしている。 それでもまだ新品の携帯電話は高嶺の花フィリピンは、都市と地方での貧富格差が大きい。マニラのマカティ地区は欧米と変わらないが、地方では電気がないところもある。フィリピンの平均年収(2011年ILO調査)で約25万ペソ(約50万円)である。月収にすると約4万円だから、3万円のスマートフォンはまだまだ高級品である。Cherry Mobileのフィーチャーフォンは新品でセール価格の最安値端末で799ペソ(約1,600円)だが地方在住者や学生には決して安くはない。中古市場ではさらに安い端末が大量に出回っている。 携帯電話端末は世界中でコモディティ化してきている。今後、日本も含めた海外メーカーはこのような新興国の地場ベンダーとの競争になってきていることを理解しなくてはならない。 (図1)Cherry MobileのAndroidスマートフォン (図3)Cherry Mobileのセールカタログ
1ペソ=約2円として計算して価格感を見て頂きたい クリックで画像を拡大します。 【参考動画】Cherry Mobile広告 (参考)Cherry Mobile *本情報は2012年6月25日現在のものである。 |
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