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Global Perspective 2012
2012年8月30日掲載

チェコ:モバイルペイメントへの取組み

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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2012年8月23日、チェコの通信事業者Telefonica Czech、Visa Europe、Komercni銀行がNFCを活用したモバイルペイメントを開始することを発表した。

2011年からパイロットプロジェクトを実施していた。まずはサムスンのスマートフォン「Galaxy S III」端末のみで対応し、NFC対応専用のSIMカード2,000枚を8月27日からチェコ内にあるTelefonicaの店舗で交換する。利用者には、Komercni銀行から250チェココルナ(約1,000円)がついてきて、モバイルペイメントの支払いに利用できる。

現在、チェコ国内に約6,000台のPOS端末があり、年内には10,000台まで増加する予定である。また対応端末も順次増加する予定であり、現時点でのスタートは「limit(限定的)」であると位置づけている。

(図1)チェコでTelefonicaとVisa Europeが提供するモバイルペイメント
(図1)チェコでTelefonicaとVisa Europeが提供するモバイルペイメント
(Telefonica)

観光客は取り込めるか

チェコの首都プラハは観光地としても非常に有名である。日本人も2011年に約12万人がチェコを訪問している。2011年にプラハを訪問した観光客は510万人を超えている。プラハの人口は約120万なので、年間にプラハ人口4倍以上の観光客が訪れている(チェコ全体の人口は約1,050万)。特に中国、南米、オーストラリアなどからの観光客が増加している。またチェコは欧州の中央に位置しているため、近隣の欧州諸国から車や電車で観光や買い物で来る人も多い。
Visa Europeはロンドンオリンピック開催時にロンドンでモバイルペイメントを実施していた。モバイルペイメントは、徐々にではあるが世界で開始されてきている。
今回のチェコでのモバイルペイメントは、Telefonica(チェコ)の利用者が対象であるが、世界中から観光客の集まるプラハにおいて、世界各国からの旅行者らがモバイルペイメントを利用できる環境を構築することによって、更なる市場の活性化が図られるだろう。

チェコの携帯電話市場

チェコの携帯電話加入者数は約1,300万で人口普及率は130%で、1人で複数のSIMを保有している。3G利用者は約310万と決して多くはない。スマートフォンは全体の約15%である。主要通信事業者はT-Mobile、Telefonica、Vodafoneの3社で海外資本の会社で、シェアも拮抗している。成熟市場ではあるが、スマートフォンによるデータARPUは向上しているが、通信事業者にとっては通信以外の新たな収益源となるサービスの確保が必要である。
チェコでは、同国にある3通信事業者と銀行ら7社でモバイルペイメントを促進するJV「Mobito」を設立している。TelefonicaではJVとの活動と並行して今回のモバイルペイメントを推進していく予定である。

*本情報は2012年8月27日時点のものである。

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