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Global Perspective 2012
2012年9月11日掲載

「Siri」VS「Aisha」:
音声エージェントによるインド英語への反応

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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AppleがiPhone4Sをリリースした際の目玉サービスとして音声エージェント機能「Siri」を搭載してきたことは周知の通りである。日本でもNTTドコモが「しゃべってコンシェル」という音声エージェント機能を2012年3月から提供している。

Micromaxの音声エージェントサービス「Aisha」

同様の音声エージェントサービスはインドにもある。インドの携帯電話メーカーMicromaxが開発した音声エージェント「Aisha」である。そのAishaアプリーケーションを搭載したAndroid OSのスマートフォン「A50 Superfone Ninja」を2012年4月にリリースした。価格は約5,000ルピー(約7,000円)とスマートフォンとしては廉価版である。但しインドでは高級なハイエンド端末に属する。

(図1)Micromaxの「A50 Superfone Ninja」
(図1)Micromaxの「A50 Superfone Ninja」
出所:Micromax

Siri VS Aisha:インド英語を聞きとるのはどちらか?

iPhoneのSiriとMicromaxのAishaで、インド人が英語で質問をしている動画を見つけた。SiriとAishaの機能はどのようなものだろうか。そしてアクセントの強いインド人の英語を正確に聞き取れるだろうか。

【アップルのSiriとMicromaxのAishaの音声聞き取り比較動画】

動画では10のシンプルな質問をそれぞれSiri(iPhone)とAisha(A50)に聞いている。それに対して以下のような結果になっている。筆者もインド英語を完璧に聞き取れている訳ではないので御容赦頂きたい。

(表1)インド人による質問とSiri、Aishaのそれぞれの回答
(表1)インド人による質問とSiri、Aishaのそれぞれの回答
筆者作成

音声エージェントはローカルが強い

音声エージェント機能は、開発・運用時に様々な音声やフレーズを聞き取って蓄積している。インド人が話す英語を聞き取って回答するには、やはりインドのメーカーでインド人が開発、運用しているMicromaxの方がインド英語を正確に把握していることがわかる。回答が適切かどうかの真意は不明な質問もあるが、今回の比較だけから見ると、インド英語はインドの音声エージェント「Aisha」に軍配が上がったと言える。

ご存知のように英語は世界で一番話されている言語であり、世界で4人に1人は英語を話すと言われている。そして英語には世界各地のアクセントが存在する。音声エージェントサービスはローカル(その国)で開発されたプロダクトの方が現地の人々の音声で開発・運用されているから、精度も向上するだろう。

これからも世界各地で音声エージェントサービスが登場するだろう。世界各地の言語で聞き取りが出来て適切な回答をするよりも、ちゃんとローカルの言語を聞き取って正確に回答することが望まれるのではないだろうか。英語を公用語として話す国で提供する際は、ローカル(インド、オーストラリア、シンガポール、フィリピンなど)の英語に対しても正確に聞き取り、回答していかないとローカルで受け入れられない恐れがある。

今後も音声エージェントサービスの発展に期待したい。

*本情報は2012年9月5日時点のものである。

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