ホーム > Global Perspective 2012 > |
![]() |
2012年10月19日掲載 |
フィンランドの老舗携帯電話メーカーNokiaが、ケニア、ナイジェリアにおいて太陽光による充電器の普及を目指して販売を行っていくことを2012年10月12日に公表した。ソーラー充電器「Portable Solar Charger DC-40」は1,250ケニアシリング(約1,200円)で販売される。 普及する携帯電話と追いつかない電気アフリカだけでなく新興国では携帯電話は急速に成長している。2012年7月には世界での携帯電話契約者数が60億を突破したことを世界銀行が報告した。そのうちアフリカには約7億の携帯電話加入者数がいる。2000年にはアフリカ全土で1,700万加入だった携帯電話が12年で約40倍にも成長した。 今回Nokiaがプロジェクトを行う2ヶ国は他アフリカ諸国と同様に携帯電話の普及は著しく、人口約4,000万のケニアでは約3,000万(普及率75%)、人口約1億5,800万のナイジェリアでは約1億200万(普及率64%)の契約数がある。 但し、アフリカのような新興国ではプリペイドでの利用が主流なので、1人で複数枚のSIMカードを保有している。アフリカではほとんどの国で95%以上がプリペイドでの利用である(GSMA 2011)。そのため人口10億人のアフリカで7億人が実際に携帯電話を保有している訳ではないので注意は必要である。 GSMAによると全世界で実際に携帯電話を利用しているのは約32億人で、アフリカで実際に携帯電話を利用しているのは3人に1人と述べている。つまり人口約10億人のアフリカでは約3.3億人が実際に携帯電話を利用している。まだまだ成長の余地が多いにある。 アフリカの農村や地方では、まだ電気が十分に通っていない地域が多い。そのような地域でも携帯電話は着実に普及してきている。彼らは乾電池式の充電器で充電をしていることが多い。 (図1)アフリカでの乾電池の充電器(左)と
Nokiaのソーラー充電器(右) 今回のNokiaの充電器はケーブルが3メートルある。 屋根や外に設置して部屋の中で充電ができる。 ![]() アフリカでのNokia全世界でスマートフォンが急速に普及しているが、アフリカでは、Nokiaの中古端末が現在でも大人気である。アフリカにおいてNokiaは携帯電話の代名詞だった。電話(通話)とショートメッセージ(SMS)機能だけのシンプルな携帯電話を多くの人が利用している。 電気が行き届いてないアフリカにおいて人気がある端末が「Nokia 1616」である。2009年末にリリースされた2Gのみに対応した電話とショートメッセージ程度の機能が付いている端末で、新品で約30ドルある。欧州でも販売されていた同端末の中古品がアフリカで多く流通されている。 携帯電話がコモディティ化された近年、アフリカでは地場メーカーや中華系メーカーの躍進が目覚ましく、かつてほどNokiaの勢いは感じられなくなった。一方でまだ既存のNokia端末を利用している人が非常にたくさんいる。何年も前にリリースされたNokia端末でも中古品としていまだにアフリカでは活用されている。今回のソーラー充電器の販売において、アフリカにおけるNokiaの更なる飛躍を期待している。 電気はなくとも太陽の光はあり、携帯電話が急速に普及しているアフリカでは、ソーラー充電器の需要は大きいだろう。しかしアフリカには1日1ドル未満で生活している人もまだ多い。彼らにとっては中古であれ携帯電話端末やソーラー充電器はまだ高価である。ソーラー充電器で便利になる人もいる一方で、まだそこまで達しない人々がアフリカには大勢いることを忘れてはならない。 (図2)フラッシュライト機能が付いているNokia 1616 【参考動画】ケニア、自転車で発電して携帯電話の充電に利用している(2009年) *本情報は2012年10月18日時点のものである。 |
▲このページのトップへ
|
InfoComニューズレター |
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。 InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。 |