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Global Perspective 2013
2013年9月24日掲載

アメリカのマクドナルドは、いつモバイルペイメントが導入されるのか

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
佐藤 仁

アメリカのマクドナルドでモバイルペイメントでの支払いがもうすぐ出来るようになるそうだ。マクドナルドのスポークスウーマンのLisa McComb氏がBloombergに語っている(※1)。現在、ソルトレイクシティとオースティンのマクドナルドでモバイルペイメントのトライアルを行っている。マクドナルドはアメリカ以外ではフランスやオーストリアなど欧州の一部の国でもモバイルペイメントのトライアルを行っている。

マクドナルドは全世界で34,700店舗あり、そのうちアメリカには14,100店舗以上ある。具体的な商用開始時期は明らかにしていないが、アメリカのマクドナルドでモバイルペイメントの導入が始まれば、そのインパクトは大きいものだろう。

モバイルペイメントは遥かに先行している日本のマクドナルド

日本のマクドナルドはご存知のように、「おサイフケータイ」に対応した携帯電話、スマートフォンであればiDやEdyなどが利用可能である。2008年5月には日本マクドナルドは「おサイフケータイ」を使った「かざすクーポン」の導入を発表した(※2)。またNTTドコモと提携してThe JV株式会社を設立した。当時、日本では現在のようなスマートフォンではなく、フィーチャーフォンが主流であったが日本の携帯電話は2004年からFeliCa(フェリカ)を搭載していたため「おサイフケータイ」が利用可能であった。その頃からすでに、「かざすクーポン」が利用可能であった。そして現在のようにスマートフォンが主流になっても、「かざすクーポン」は利用可能である。日本は2011年でマクドナルドは3,298店舗で、その全ての店舗で利用が可能である(※3)

画期的だった携帯電話を利用した「かざすクーポン」

携帯電話やスマートフォンを利用した「かざすクーポン」の登場によって、従来、紙で配布されていたクーポンが無くなったことは大きいだろう。紙のクーポンは貰っても、財布の中で気が付いたら使用期限が切れているということがよくある。また店頭や街頭で配布している時に貰えなければ、入手できないという不便さもあった。また枚数の制限もあるから、使い切ってしまったら、もう「紙のクーポン」が手元から無くなってしまった。

「かざすクーポン」であれば、使いたい時にすぐに携帯電話やスマートフォンでアクセスすれば何回でも利用ができるという利点がある。無駄な紙を使わないから、環境にも優しい。これは世界でも画期的なことだったと思う。

一筋縄には導入が進まないモバイルペイメント

海外ではモバイルペイメントの導入は一筋縄にはいかない。技術的な問題点だけでなく、関係する各社のビジネスに対するそれぞれの思いが一致しないと前には進まない。また買い物に対する文化や商習慣の問題なども存在しており非常に複雑で、日本のように海外では導入が進んでいない。

マクドナルドのようなグローバル企業であっても、各国でメニューだけでなく、サービスも大きく異なる。マクドナルドは各国で独自のメニューが存在するようで、外国人は日本に来ると日本のマクドナルドのオリジナルなメニューを食べたいということでよく動向するが、彼らの多くは日本のマクドナルドのレジの前にある「おサイフケータイ」のリーダーライターとそれを利用する人を見て驚嘆している。

日本はモバイルペイメントでは世界中のどこの国よりも先行している。今でも世界中の多くのマクドナルドでは、紙のクーポンや現金払いが主流である。日本でのモバイルを使ったクーポンや、モバイルペイメントの導入から、世界はたくさん学べることがあるだろう。

【参考動画】

*本情報は2013年9月20日時点のものである。

※1 Bloomberg(2013), Sep 10, 2013, “McDonald’s Testing Mobile Order App for U.S. Stores”
http://www.bloomberg.com/news/2013-09-10/mcdonald-s-testing-mobile-order-app-for-u-s-stores.html

※2 日本マクドナルド・The JV株式会社(2008年5月19日)
http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2008/company/20080519.html

※3 日本マクドナルド(コーポレートファクト)
2008年には3,754店舗あったことからその頃から約500店舗減少している。
http://www.mcdonalds.co.jp/company/csr/pdf/companydata.pdf

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