ホーム > Global Perspective 2013 > |
![]() |
2013年10月9日掲載 |
2013年9月13日、ブラジル国防省とアルゼンチン国防省がサイバーセキュリティ分野で提携していくことを発表した(※1)。2013年11月までにアルゼンチンから民間、軍事のサイバーセキュリティの専門家をブラジルに派遣して、ブラジル軍のサイバー防衛センター(Cyber Defence Centre (CDCiber))でサイバーセキュリティについて共同で演習を行う予定である。 アメリカのサイバースペースでの行動に対して怒るブラジルブラジル大統領府は、NSA(アメリカ国家安全保障局)がルセフ大統領のメールを傍受していたとの報道を受け、予定していた2013年10月の大統領のアメリカ訪問を延期すると報じられた(※2)。またルセフ大統領は2013年9月の国連総会において、自身のメールの傍受に触れ、アメリカによるインターネットによる情報収集(情報窃取)に対する非難声明を述べ、国際規制の導入を提唱した(※3)。また、世界のインターネット検索の8割はグーグルなど米企業のサービスを利用しており、サイバースペースにおける「米国覇権の拡大」を危惧しているブラジル政府は2014年末までにブラジル国内にサーバーを置く電子メールサービスを設立し、アメリカを経由せず欧州や南米諸国と直接インターネット回線をつなぐ計画を打ち出しているとのことだ(※4)。今回のアルゼンチンとの協力関係においても、両国はアメリカのサイバー攻撃(情報窃取)に対して特に対策を強化していくことを述べている。 サイバースペースにおけるアメリカの覇権サイバースペースはアメリカが中心であり覇権を握っていることは否定できない。サイバースペースは情報通信技術を元に構成されているが、それらを提供しているインターネットやシステム関連の企業のほとんどがアメリカであることは事実である。アメリカが覇権を握っているサイバースペースにおいて、ブラジルと同じ思いを抱いている国は多いだろう。 そして今回のブラジルとアルゼンチンのようにアメリカが主導するサイバースペースでの行動とイニシアティブに反対して国家間で協力(同盟)関係を築く制度が続出するかもしれない。国際社会において、アメリカ主導のサイバースペースに対して、そのような制度が多く登場する前にアメリカはサイバースペースにおいてどのような対応をとるのか注視していく必要がある。 【参考動画】 *本情報は2013年9月21日時点のものである。 ※1 Ministério da Defesaブラジル国防省(2013)Sep 13, 2013 “Brasil e Argentina criam grupo para discutir ações na área de defesa cibernética” (ポルトガル語)http://www.defesa.gov.br/index.php/ultimas-noticias/8804-13-09-2013-defesa-brasil-e-argentina-criam-grupo-para-discutir-acoes-na-area-de-defesa-cibernetica ※2 “Brazil's president cancels US state visit over spying revelations” ※3 Reuter(2013) Sep 24, 2013, “At U.N., Brazil's Rousseff blasts U.S. spying as breach of law” http://www.reuters.com/article/2013/09/24/us-un-assembly-brazil-idUSBRE98N0OJ20130924 ※4 毎日新聞(2013年9月18日) |
▲このページのトップへ
|
InfoComニューズレター |
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。 InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。 |