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Global Perspective 2013
2013年10月29日掲載

「歩きスマホ」より大切なこと

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
佐藤 仁

2013年10月16日夜、東京都板橋区で携帯電話を操作しながら歩いていた男性が踏切に進入し、電車にはねられ死亡する事故があったと東京新聞(10月17日夕刊)が報じている(※1)。短い記事なので以下に引用する。

 東京都板橋区で十六日夜、携帯電話を操作しながら歩いていた男性が踏切に進入し、電車にはねられ死亡する事故があった。スマートフォンや携帯電話の画面に気を取られ、駅のホームから落ちたり、人と接触したりする事故が相次いでおり、警察や鉄道会社は注意を呼びかけている。板橋署によると、死亡したのは区内の無職男性(47)。現場は東武東上線大山駅に隣接する踏切で、事故当時、左右両側から遮断機が下り、警報機も鳴っていた。男性は携帯電話を操作しながら、中央部分に数センチ開いた遮断機の隙間を通り抜けて電車と衝突し、死亡したとみられる。署が男性の家族に事情を聴いたところ、「自殺する原因は思い当たらない」と話したといい、「携帯電話の画面に気を取られ、誤って進入した可能性がある」と署幹部。近くにある飲食店の男性店員(38)は「同僚が事故を目撃した。警笛が鳴り、男性は踏切の中で驚いた顔をしていたそうだ」と話した。今年五月には、新宿区のJR中央線四ツ谷駅のホームで、携帯電話を見ながら歩いていた小学五年の男児がホームに転落する事故が発生。その際、電車が進入したが、男児はホームと電車の隙間にいたため、あごをけがしただけで済んだ。携帯電話をめぐる事故を受け、鉄道各社は車内放送やポスターなどで注意を促すキャンペーンを始めている。東武鉄道(東京都墨田区)も先月三十日以降、駅構内や電車内に「スマートフォンや携帯電話の『ながら歩き』は危険」という内容のポスターを掲示していた。広報担当者は「今回の事故は遮断機が下り、警報機も正常に作動していたので、電車の接近は気づくはず」と戸惑いがちに話した。東京新聞(10月17日夕刊)

歩きながらスマートフォンの画面に気を取られる、いわゆる「歩きスマホ」によって駅のホームから落ちたり、人と接触したりする事故が相次いでおり、警察や鉄道会社は注意を呼びかけている。多くの人が「歩きスマホ」への注意喚起のポスターなどを目にしたことがあるだろう。ひょっとすると駅やプラットフォームではスマートフォンに目がいっているから見たことがないという人もいるかもしれない。

駅やプラットフォーム、道路を歩きながらスマートフォンをしている時にやっていること、見ている画面って何だろうか?それは歩きながら急いでやる必要があることなのだろうか、もう一度考えてみてはいかがだろうか。メール、ソーシャルメディア、ニュース、ゲーム、動画閲覧など歩きながらしなくてはならないことなのだろうか。もはや「歩きながらスマートフォンをする」というよりも、「スマートフォンがないと歩けない」ようになってしまったかのようである。

スマートフォンの画面を見ながら歩くほど緊急な用件があるのならば、立ち止まって冷静に対応した方が良いのではないだろうか。「歩きスマホ」で周囲の人に迷惑をかけたり、自分自身が危険な目に遭ってしまってからでは遅い。歩きながらスマートフォンをするよりも、もっと大切なことがある。
事故に遭われた方のご冥福をお祈り申し上げます。

*本情報は2013年10月25日時点のものである。

※1 東京新聞(2013年10月17日夕刊)「携帯に気を取られ?男性死亡 「ながら」歩き 相次ぐ事故」
(以下にも同記事)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013101702000239.html
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