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2013年10月31日掲載 |
米グーグル傘下のMotorola Mobilityは2013年10月28日、オープンなハードウェアプラットフォームを構築するプロジェクト「Project Ara」を発表した(※1)。 モジュールをカスタマイズして作るスマートフォン「Project Ara」ソフトウェアにおけるAndroidプラットフォームと同じモデルをハードウェアでも実現するのが目的。Androidは言うまでもなくグーグルから登場したスマートフォンOSで、現在世界のスマートフォンOS市場の7〜8割を占めている。 ハードウェアを製作するサードパーティーの開発者エコシステムを形成し、スマートフォン製造、組み立ての垣根を低くすることによって、イノベーションを加速し、開発期間を短縮することを目的としている。「Project Ara」ではモジュールと、各モジュールを設置するための「endoskeleton(endo:内骨格)」と呼ばれるフレームを組み合わせてスマートフォンを組み上げる。モジュールは交換可能で、ユーザー自分の好みに応じてモジュール(カメラやプロセッサーなど)をカスタマイズやアップグレードすることができる。 ![]() (出典:モトローラ) 「Project Ara」はモトローラの救世主となるか米グーグルが2013年10月17日に発表した2013年第3四半期(7〜9月期)決算は、売上高は前年同期比12%増の148億9000万ドル、純利益が36%増の29億7000万ドルだった。営業利益は26%増の34億4000万ドルで、非GAAPベースの営業利益率は0.9ポイント増の29.2%だった。しかしモトローラの営業損失は前年同期より拡大し、2億4800万ドルだった。モトローラの売上高は前年同期比33%の11億8000万ドルだった。グーグル全体の売上の中で見ると8%程度で非常に小さい。 モトローラは2013年夏に「Moto Maker」というサイトから端末のカスタマイズを行えることが特徴のスマートフォン「Moto X」を市場に投入した。しかし、現時点でもそれほど多くの出荷台数を誇っているわけではないようだ。 「Project Ara」はすぐに商用化される端末ではないが、このようなイノベーティブな取組みを積極的に行えるのもグーグルの強固な財務基盤に支えられているからだろう。そのグーグルの増収増益の影に隠れてモトローラの業績が目立たないかもしれないが、モトローラとしては改善に向けて取組むべき課題がまだ多い。「Project Ara」は今後、モトローラの携帯電話事業を救うことができるのだろうか。長期的な視点で見ていきたい。 (表1)Googleの四半期売上高推移(単位:百万ドル) ![]() (出典:グーグル) 【参考動画】 Moto X グーグルの第3四半期決算について伝えるニュース(2013年) *本情報は2013年10月29日時点のものである。 ※1 Motorola(2013) Oct 28 2013, “Goodbye Sticky. Hello Ara.” |
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