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2013年4月22日掲載 |
4月25日は「Girls in ICT Day」である。日本語に訳すと「女性のためのICT(情報通信技術)の日」だろう。2010年に国際電気通信連合(ITU)によって制定された。世界中の女性にICT産業で活躍してもらうことを目的としてコンテスト、トレーニング、インターンシップなどのイベントが世界中で開催され、それらを通じて世界中の女性がICT分野で触れる機会を増加させ、将来ICT産業に従事してもらうことを目的としている。 欧州委員会によると、欧州でICT産業に従事している人は約700万だが、そのうち女性が占めるのは30%程度である。また欧州は経済不況と言われているにもかかわらず、ICT産業では毎年12万の新しい仕事が生まれており、2015年までには70万人の労働者が不足すると想定している(※1)。そのため、欧州員会では今年も多くの女性がICT産業に従事できるように「Girls in ICT Day」にはブリュッセルにてイベントを開催する予定だ。欧州地域でも女性のICT産業への従事が少ないということは新興国や途上国においてはさらに少ない。アジア太平洋諸国では女性が従事しないことによる機会損失のコストが年間420億〜460億ドルと見積もっている。 ITUの調査によると、ICT産業で女性が従事しているのは「IT運用技術者(IT operations technicians)」は30%、「ICTマネージャー(ICT managers)」が15%、「IT戦略プランナー(IT strategy and planning professionals.)」は11%のみである(※2)。まだまだ世界中でICT産業に従事しているのは男性であり、ITUはそれらを改善するために必要なのは教育であり、政府や民間企業の支援を訴えている。 いずれ世界は男性だけでは支えられなくなるICTの発展によって様々な情報が簡単に入手できるようになった。また携帯電話、パソコンの発展とインターネットの普及で人々の生活は大きく変化した。しかし、それらの基盤となっているICT産業に従事しているのは世界ではほとんどが男性である。男性だけで構築されたICTを活用して本当に良いサービスが登場することはないだろう。ICTを利用しているのは男性だけではない。 未だに世界ではジェンダーに基づく偏見や不平等があり、多くの女性に経済参加の機会が限られていて貧困状態である。そして女性の推定平均所得が男性よりも高い国は世界にまだない。グローバル化が進展し世界中の情報が瞬時に入手できるようになったのは、ICT産業の発展が大きく寄与している。しかしそれらを支えているのが男性という状況がいつまでも続くようでは公正で有意なグローバル化とは言えない。 これはICT産業だけでなく、世界のあらゆる産業、経済において言えることだろう。ジェンダー平等と女性のエンパワーメントは世界経済、社会の発展にとって不可欠な課題である。各国の歴史や文化、風習にも依拠することが多い問題であることから、解決までには時間がかかるが、いつまでも男性だけで世界の経済、産業を支えることは難しくなってくるだろう。 「Girls in ICT Day 2013」のイベントは世界各国で開催されているが、その多くは「BOYS KEEP OUT(男子立入禁止)」で女性のみを対象にしている。主旨としては女性のエンパワーメントを目的としているから、それでも良いのかもしれないが、本来は男女混合で実施し、そのような場で男女がそれぞれの素晴らしさを理解する機会になりうるような運営をしていくことが大切なのかもしれない。 (図1)マレーシアでの「Girls in ICT Day 2013」イベントの案内 ![]() (出典:ITU) (参考) 【参考動画】 *本情報は2013年4月22日時点のものである。 ※1 European Commission, “Women in ICT” ※2 Girls in ICT (2013) http://girlsinict.org/trends-analysis-and-profiles/bright-future-icts-opportunities-new-generation-women |
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