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Global Perspective 2013
2013年6月14日掲載

ケニア:乗り合いバス「Matatu」でのWi-Fiアクセス

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
佐藤 仁

2013年6月、ケニアの通信事業者Safaricomがケニアの乗り合いバス「Matatu」(マタトゥ)で無線LAN(Wi-Fi)の提供を始めたと報じられた。

乗り合いバス「Matatu」でのWi-Fi

「Matatu」とはケニアで走っている個人経営のミニバスである。派手なペイントをしていて、10人から20人程度の客が乗車している。ドライバーとコンダクターがいて、コンダクターが乗降の客捌きをしている。ケニアの通信事業者Safaricomは「Matatu」向けにWi-Fiサービスを提供する。1台あたり月に1,500ケニアシリング(約18ドル)である。「Matatu」の経営者も差別化に向けて車内でのWi-Fi導入を進めているとのことであり、若者や通勤客に人気があるとのことだ。現地の「Matatu」車内の表示では、乗客は「無料」でWi-Fiが使えるバスもあるようだ。

(図1)「Matatu」車内において無料でWi-Fiが利用できることを伝えているボード

「Matatu」車内において無料でWi-Fiが利用できることを伝えているボード

(出典:CIO Africa)

(図2)Wi-Fi利用が可能なことを伝える「Matatu」(車体左下にWi-Fiの表示)

Wi-Fi利用が可能なことを伝える「Matatu」(車体左下にWi-Fiの表示)

(出典:CIO Africa)

ケニアでのモバイルインターネット

ケニアの携帯電話加入者数は約2,800万(普及率約70%)である。プリペイド比率が95%以上と非常に高い。そしてケニアの通信事業者Safaricomのシェアは約60%と一番多い。
ケニアでは中古端末も含めてスマートフォンも普及しつつあるが、多くの人がGSM(2G)のプリペイドSIMを保有しているため、インターネットへのアクセスは安価(または無料)なWi-Fiを経由してアクセスすることが多い。
中国メーカーHuaweiのスマートフォン「IDEOS」といったハイエンド端末もかつてヒット商品だった(参考レポート)。但し、ハイエンドのスマートフォンを保有できる人は「Matatu」にはほとんど乗車しないで、自家用車での通勤だろう。

新興国で進む車内でのWi-Fi利用

日本や先進国ではモバイルからインターネットへのアクセスは3GまたはLTEを活用することが多いだろう。しかし3GやLTEが完備されていない新興国ではモバイルからのインターネットアクセスはWi-Fiを利用するところが多い。
そして新興国で移動する場合は車で移動することが多い。一方で、多くの人が車やバス、バイクで移動することから渋滞も激しい。最近、新興国では空港からホテルまでの送迎の車の中で、無料でWi-Fiにアクセスできるサービスを提供しているホテルが多くなった。車内でラップトップやスマートフォンでインターネットにアクセスができるため、渋滞している間にメールの確認や送受信ができるので、便利である。またホテルの送迎車だけでなく、一般の自動車に乗車する際にもWi-Fiモデムを持参し、インターネットにアクセスすることがよくある。

ケニアだけでなく多くの新興国ではスマートフォンを保有しているが、2GのプリペイドSIMで利用しており、インターネットにアクセスする際はWi-Fiを利用するという人は非常に多い。カフェやコンビニ、レストランなど多くの場所で無料または安価でWi-Fiにアクセスできるスポットも増加している。これらはWi-Fiに接続するために、その「スポット」に行く必要がある。
移動している時にもWi-Fiに接続できる「車内からのWi-Fi」の需要は学生や若者を中心に高いだろう。移動している時でもインターネットにアクセスできる、という日本や先進国では当たり前のことだが、新興国において乗り合いバスで通勤・通学している人にとっては画期的なことである。
これからも新興国においてケニアの乗り合いバス「Matatu」のように車内でのWi-Fiアクセスのサービスを提供するバスや電車が増加してくるのではないだろうか。

【参考動画】
ケニアの「Matatu」でのWi-Fi

*本情報は2013年6月13日時点のものである。

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