ホーム > Global Perspective 2014 >
Global Perspective 2014
2014年2月28日掲載

「歩きスマホ」で増加する救急搬送

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
副主任研究員 佐藤 仁

2014年2月27日の読売新聞サイトにて「歩きスマホ、衝突・転倒36人搬送…駅で道で」というタイトルの記事が出ていた(※1)。東京消防庁によると、2013年に東京都内で「歩きスマホ」による事故で36人が救急搬送されたとのことである。相変わらず「歩きスマホ」が話題になっている。短い記事なので下記に引用しておく。

(以下、読売新聞2014年2月27日より引用。下線筆者)

東京都内で昨年(2013年)、徒歩や自転車の運転中にスマートフォンや携帯電話を操作して事故に遭ったり、「歩きスマホ」の歩行者らに衝突されたりして救急搬送されたのは36人に上り、うち1人が死亡したことが、東京消防庁の調査でわかった。
2010年(23人)の約1.5倍となり、同庁は「スマホの普及が増加の原因」とみている。ただ、搬送時に詳しい状況が分からないケースも多く、同庁では調査結果について「氷山の一角」とみている。

同庁は、救急搬送時の記録から、スマホと携帯電話の使用中の事故を過去4年に遡って初めて調べた。その結果、10年に23人だった負傷者は11年に29人、12年には34人に増加。昨年(2013年)は36人が搬送されたが、このうち板橋区で2013年10月、歩きながら携帯電話を見ていた男性(当時47歳)が誤って踏切内に入り、電車にはねられて死亡した。

昨年の事故のうち、スマホなどの操作中や画面を見ている最中だったのは6割強の24人で、「通話中」(5人)、「電話を取ろうとして」(3人)と続いた。搬送された36人のうち、7人は自転車走行中の事故だった。

救急搬送は1回7,600円〜埼玉県「行政の値札」より

記事内にもあるが、この36人は「氷山の一角」であり、実際には救急搬送されず、重大な事故にならなかったとしても、危険な思いや経験をした人はもっと多いだろう。このような事故を回避するのは、当たり前のことだが、「歩きスマホ」をしないことである。

2010年10月19日に埼玉県が発表した「行政の値札」によると、救急患者の搬送は、患者1人で7,600円のコストがかかっているとの結果が出ている(※2)。このコストは救急医療体制のコストを搬送人員で割っているので、都道府県によって変わるが、言うまでもなく税金である。「歩きスマホ」で事故を起こして、救急搬送されても誰も得することがない。

ちょっと立ち止まって人や車、電車が来ない場所でスマートフォンを操作すればよい。歩きながらスマートフォンに目をやる、操作するのをやめるだけで、安全で快適な社会になるのではないだろうか。

*本情報は2014年2月27日時点のものである。

※1 読売新聞(2014年2月27日)「「歩きスマホ、衝突・転倒36人搬送…駅で道で」」http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140227-OYT1T00750.htm

※2 埼玉県(2010年10月19日)「行政の値打」
http://www.pref.saitama.lg.jp/site/nefuda/sesaku.html
救急搬送については以下の「地域医療の充実」の値札参照
http://www.pref.saitama.lg.jp/uploaded/attachment/416574.pdf

このエントリーをはてなブックマークに追加
▲このページのトップへ
InfoComニューズレター
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。
InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。