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2014年3月24日掲載 |
中国のインターネットサービス大手企業、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)は2014年3月19日、2013年第4四半期の決算を発表した(※1)。ここでは同社が提供しているメッセンジャーアプリ「WeChat」について見ていきたい。 「WeChat」利用者の増加テンセントの純利益は前年同期比12.9%増の39億1,000万元(6億3,146万ドル)、売上高は40%増の169億7,000万元(27億4,000万ドル)となった。 中国だけでなく世界中で利用されているメッセンジャーアプリ「微信(WeChat)」とEコマースの広告費が膨らみ、総販売費が前期比39%増加した。 テンセントは「微信(WeChat)は単なるコミュニケーション・サービスから多機能プラットフォームに進化しつつある」とコメントした。またCEOの馬化騰氏は「オンライン・ビデオ、オンライン決済やWeChatの海外展開など、長期的に有望視される分野に投資する」と今後の方針を明らかにした(※2)。 「WeChat」が目指す次の海外市場はアフリカ中国だけでなく世界中でアフリカでメッセンジャーアプリ「WeChat」の存在感が高くなってきている。南アフリカのヨハネスブルグでの会見でWeChatアフリカのManaging Director、Brett Loubser氏は、アフリカにおける具体的な加入者数は開示しなかったものの、アフリカで「WeChat」は急成長しており、その勢いは他国よりも凄いことを述べた(※3)。 アフリカにおけるメッセンジャーアプリは「WhatsApp」やBBM(ブラックベリーメッセンジャー)の人気が高いが、そこに「WeChat」も参戦してきたようだ。 アフリカには多くの中国人が労働者や移民として生活、仕事をしており、彼らは母国の中国とコミュニケーションをする際に「WeChat」を利用している。そしてアフリカ在住の中国人から現地の人々にも「WeChat」利用が拡大したことも要因の1つとして考えられる。メッセンジャーアプリはコミュニケーションのプラットフォームであるから、多くの人が利用すれば、それに比例して利用者が拡大していく。 現在、アフリカでは「WeChat」のテレビ広告も行われているが、それらは完全にローカライズされており、「中国発のアプリ」を一切感じない。 アフリカでは現在「WhatsApp」の人気が高いが、いつまでも「WhatsApp」の人気が続くとは限らない。メッセンジャーアプリは差別化と収入源の確保が難しい。「WhatwsApp」は1年目無料で、2年目以降から0.99ドルかかるが、どの程度の人が2年目以降に支払をしているのかは不明である。 メッセンジャーアプリは基本的に無料でダウンロードして利用できるため、1人で複数のアプリを利用していることが多い。「WhatsApp」でなければいけないという強い理由とモチベーションはほとんどない。みんなが「WhatsApp」を利用しているから、自分も利用する、というだけである。みんなが「WeChat」を利用するなら、自分も利用しないとコミュニケーションできないからダウンロードして利用する、というのがメッセンジャーアプリであり、そのようにして普及が拡大していく。 現在、中国以外での「WeChat」の利用は東南アジアが中心で現在中国以外では1億人の利用者がいると言われている。今後、アフリカ市場においてコミュニケーションの中心が「WeChat」になるかもしれない。そしてテンセントはアフリカ市場でどのようにビジネスを展開していくのか、楽しみである。 【参考動画】 *本情報は2014年3月22日時点のものである。 ※1 騰訊控股(テンセント・ホールディングス)に2013年第4四半期決算(2014年3月19日)(中国語)http://tencent.com/zh-cn/content/at/2014/attachments/20140319.pdf ※2 ロイター(2014年3月20日)「中国テンセント第4四半期は12.9%増益、広告費増で伸び鈍化」http://jp.reuters.com/article/jpchina/idJPTJEA2I01O20140319 ※3 IT News Africa(2014) 20 Mar 2014, “WeChat throws hat in African ring” |
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