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2014年4月2日掲載 |
アメリカのヘーゲル国防長官は2014年3月28日、サイバー司令部と国家安全保障局(NSA)本部がある東部メリーランド州フォートミード陸軍基地の式典においてスピーチを行った(※1)。そこでヘーゲル国防長官はアメリカのサイバーセキュリティについて以下の点をコメントしている。
サーバースペースの軍事化は避けられない今回ヘーゲル国防長官は、「サイバースペースを軍事化していくことはない」(“The United States does not seek to ‘militarize’ cyberspace,”)と述べている。但し『その代り、アメリカ政府としては「誠実で・信頼できる・開放的」なインターネットの質の向上を目指す。つまりアメリカと世界が自由と繁栄を追求することができるネットワークである。』(“Instead, our government is promoting the very qualities of the internet -- integrity, reliability, and openness -- that have made it a catalyst for freedom and prosperity in the United States and around the world.”)という条件がついている。 すなわち、アメリカだけでなく世界が「信頼できる開放的なインターネット」という理想的な社会を享受することができるのであれば、サイバースペースの軍事化を行う必要がないだろう。しかし、現実的にはサイバー攻撃が行われており、サイバースペースの軍事化は回避できない問題である。 サイバー戦争に向けた人員増強サイバースペースの軍事化とはサイバー戦争に強い国家、部隊作りである。サイバー戦争とは「プログラミング戦争」であり、複雑なシステムによって構成されたサイバースペースは無数の「未知の脆弱性」の塊でもある。それら脆弱性をいち早く検出し、改修(バージョンアップ)していくことが「サイバースペースの防衛」であり、発見した敵の脆弱性を突いて攻撃をしかけて敵のサイバースペースに侵入することが「サイバースペースでの攻撃」である。たとえサイバー攻撃をしかけなくとも、自国のサイバースペースの防衛だけは行わなくてはならない。それを怠ると国家の重要インフラだけでなく国民生活、社会経済までもが麻痺しかねない。そのようなサイバースペースを防衛、攻撃するために必要なのは、人材である。2016年までに現在の1,800人から6,000人までサイバー部隊の専門家を増員していくことにアメリカのサイバースペースに対する強い意思を感じる。 ヘーゲル長官は2014年4月上旬に中国訪問を予定しており、そこでサイバー攻撃の問題を取り上げる予定である。米中の対談の中でも毎回登場するアジェンダである。今回のヘーゲル国防長官のスピーチは、明らかに中国に対する牽制である。 【参考動画】 *本情報は2014年3月30日時点のものである。 ※1 DoD(2014) 28 Mar 2014, “Hagel Thanks Alexander, Cyber Community for Defense Efforts” |
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