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2014年4月3日掲載 |
オバマ米大統領が主導し、核テロ対策などを話し合う「核セキュリティ・サミット」が2014年3月25日、オランダ・ハーグで閉幕した。共同宣言「ハーグ・コミュニケ」を採択し、核兵器に使われる可能性のある高濃縮ウランだけでなくプルトニウムの減量にも初めて合意した。 「ハーグ核セキュリティ・サミット コミュニケ」(The Hague Nuclear Security Summit Communiqué)においてもサイバー攻撃に関する項目が存在している(※1)。以下に原文のまま引用を行う(下線筆者)。
外務省が発表している「ハーグ核セキュリティ・サミット コミュニケ」(外務省 2014年3月25日)においてサイバー攻撃は以下のようにポイントのみを摘出して記されている(※2)。以下に引用しておく。
核セキュリティとサイバーセキュリティ今回のコミュニケから、核セキュリティにおけるサイバー攻撃の脅威は情報摂取とシステム破壊であることがうかがえる。 大国間での本格的なサイバー戦争が勃発してしまっては、サイバースペースの保全はあり得ない。サイバースペースの根幹にあるのは大国間同士での協力関係だろう。一方で、大国間には潜在的な対立関係もあるため、サイバー攻撃の誘因があり、その能力も備えている。しかし、大国間では現在のところ、武力や核戦力による抑止が作用しており、サイバー反撃、武力行使へのエスカレーションを回避するためにもサイバー攻撃は行われない。 大国間でのサイバースペースをめぐって協力関係は、冷戦期の核抑止における「米ソ戦略兵器制限条約(START)」のようなフォーマルな条約までは締結されないと考える。サイバースペースでの攻防は核戦力と比較すると、大国にとってそれほどの脅威ではない。なぜなら核兵器は万が一に発射された場合には地球全体が崩壊しかねないという恐怖感が抑止力になっていたが、サイバー攻撃においては地球崩壊という恐怖感による抑止力は軍事施設へのサイバー攻撃のみで、情報窃取などでは抑止力の効果は小さい。 したがって、現在のサイバースペースでの大国の抑制を強化するという点では、信頼醸成措置のようなものが中心となってくる。そして大国間での相互主義的安全保障体制はサイバースペースの国際体制のコアとなる。サイバースペースにおいても大国を軸にした安全保障は展開されていくことになると想定される。 次回の核セキュリティ・サミットは2016年にワシントンで開催する予定である。それまでにサイバー技術は著しく進歩しているだろう。それによって大国間の国際政治のフレームワークにどのような影響を与えるのであろうか。 (参考) *本情報は2014年4月2日時点のものである。 ※1 The Hague Nuclear Security Summit Communiqué ※2 ハーグ核セキュリティ・サミット コミュニケ(外務省)(2014年3月25日) |
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