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2014年4月14日掲載 |
中国を訪問したヘーゲル米国防長官は2014年4月8日、北京の人民解放軍国防大学で講演を行い、サイバー攻撃に関するアメリカ軍の戦略を中国当局者に説明した。同様に、中国軍もサイバー能力を開示して透明性を向上させるよう促した。毎回であるが米中でサイバー攻撃をめぐって舌戦を繰り広げている。 米国防省が開示したヘーゲル訪中時のサイバースペースをめぐる発言について以下に引用しておく(※1)。 【米国防省からのリリースより(下線筆者)】 Regarding cybersecurity, Hagel emphasized the need for the United States and China to be more open about each other’s capabilities and intentions in this critically important domain. 【北京の人民解放軍国防大学で講演でのサイバースペースに関わる個所(下線筆者)】 To preserve the stable regional security environment that has enabled this historic economic expansion, the United States and China have a very big responsibility to address new, enduring regional security challenges alongside all the partners of the Asia-Pacific. We face North Korea's continued dangerous provocations, its nuclear program, and its missile tests; ongoing land and maritime disputes; threats arising from climate change, natural disasters, and pandemic disease; the proliferation of dangerous weapons; and the growing threat of disruption in space and cyberspace. サイバースペースに対してオープンを目指すアメリカ米中ともにお互いがサイバー攻撃を行っているとは公式に認めていない。今回のヘーゲル国防長官の主張もアメリカはサイバースペースに対して「オープン」であることを主張しており、オープンな空間であれば、そこで誤解や軋轢が生じることはないと述べている。 また、ニューヨーク・タイムズは2014年4月6日にオバマ政権がサイバー攻撃をめぐる防衛・反撃政策について中国軍指導部に密かに説明したと報じている(※2)。アメリカが中国に対して、自国のサイバー攻撃の政策について説明を行うのは極めて珍しい。但し、事の真意は不明である。 中国側の主張についてはCRI(日本語版)で報じられているので、引用しておきたい(※3)。 (引用。下線筆者) 常万全国防相は席上、以下の内容を強調しました。第1に、サイバー空間は厳しい安全脅威に直面しているため、各国はそれを利用し保護する必要があること、第2に中国側はサイバー空間に対して平和、安全、開放、協力という原則を貫いていること。中国軍隊によるサイバー空間での防衛活動は国内の法律と国際で広く認められた法律の枠組み内に限られており、いかなる国にとっても脅威ではない。第3に中国とアメリカはサイバー空間において広範な共通利益があり、両軍はサイバー問題について、交流を保ち、サイバーセキュリティー問題をめぐって率直かつ効果的な対話を数多く行ってきたことの3点です。 コミュニケーション継続が一番の危機回避サイバースペースをめぐっては「誤解や思い込み」を回避していくためにも米中での対話はこれからも継続して行われていく必要がある。サイバースペースだけでなく国際政治において、紛争は常に「誤解や思い込み」から衝突してきた。それら「誤解や思い込み」の回避のために信頼醸成措置としてホットラインの設置やコミュニケーションの場が多いに活用されている。米中におけるサイバースペースにおいても継続的なコミュニケーションが必要である。たとえ平行線であったとしても、コミュニケーションすることによって、相手が何を考えているのかわからないという不信感が回避され、「誤解や思い込み」も軽減される。サイバースペースをめぐる争いについては舌戦になっているとはいえ、米中両国でのコミュニケーションが一番の危機回避になるだろう。 【参考動画】 *本情報は2014年4月11日時点のものである。 ※1 DoD(2014) 8 Apr 2014, “Hagel, China’s Defense Minister Build Military Relations Model” ※2 NYT (2014) 6 Apr 2014, “U.S. Tries Candor to Assure China on Cyberattacks” http://www.nytimes.com/2014/04/07/world/us-tries-candor-to-assure-china-on-cyberattacks.html?_r=1 ※3 「中国軍隊のサイバー防衛活動はほかの国への脅威ではない」(2014年4月9日) |
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