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Global Perspective 2014
2014年5月1日掲載

携帯電話で識字率向上へ:UNESCO

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
副主任研究員 佐藤 仁

国連教育科学文化機関(UNESCO)は2014年4月23日、発展途上国において携帯電話を活用した読書に関する新たな調査結果「Reading in the Mobile Era」を発表した(※1)。
調査対象となった発展途上国7か国(エチオピア、ガーナ、インド、ケニア、ナイジェリア、パキスタン、ジンバブエ)で識字率や教育レベルの改善に携帯電話が貢献できる可能性があることが明らかになった。

UNESCOは7か国で4,000人以上を対象に調査を実施した。調査対象のユーザーのうち77%が男性だったが、モバイルを利用した読書時間は、1か月あたりの平均で女性が277分、男性は33分で、圧倒的に女性の方がモバイルで読書をする傾向にあることが読み取れる。

UNESCOによると、全世界で7億7,400万人が文字を読めない、または書けないとのこと。すなわち10人に1人である。そしてそのうち1億2,300万人が若者である。特にサブサハラアフリカの多くの人々は1冊も本を持っていない、また学校の教科書も十分に揃っていないとのことである。

全世界には約70億人が存在している。そしてアクティブな携帯電話は60億に達している。これは全世界でのトイレの普及率よりも高い。つまりトイレは完備していないが携帯電話は保有しているという人が世界中にはたくさんいるのだ。
携帯電話は音節宇和以外にも、ショートメッセージ(SMS)のやり取りがある。それらを通じて文字に接することによって識字率向上にもつながるだろう。教科書や本は読んだことがなくても携帯電話でメッセージのやりとりをしたことがあるという人は多いだろう。それらを通じて文字に接して、その延長として携帯電話・モバイル機器で読書をするようになる人も多いだろう。

本当は学校に行き、教科書を読んだり、日常的な読書が重要なのであろうが、そのような環境にない途上国の人にとって、帯電話などモバイル機器は文字に接する重要なツールであろう。携帯電話がどこまで途上国で識字率向上に寄与するのか、引き続き注目していきたい。

(表1)調査対象国の大人の非識字率

(表1)調査対象国の大人の非識字率

(出典:UNESCOを元に筆者作成)

(表2)調査対象国の若者の非識字率

(表2)調査対象国の若者の非識字率

(出典:UNESCOを元に筆者作成)

【参考動画】

*本情報は2014年4月25日時点のものである。

<>※1 国際連合(2014) “World Book Day: new UN report spotlights potential of mobile technology to advance literacy”
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=47629#.U1zJt1LNvAV
http://unesdoc.unesco.org/images/0022/002274/227436e.pdf
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