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2014年8月14日掲載 |
マイクロソフトは2014年7月23日、中国で家庭用ゲーム機「Xbox One」を9月23日から中国で3,699 元(約6万円)で販売開始することを発表した(※1)。 中国では青少年の精神に悪影響を与えるからという理由で、2000年からゲーム機の販売が禁止されていたが、2014年1月に入ってから解禁された。解禁後、海外のメーカーとして市場に参入するのはマイクロソフトが初めてとなる。 中国のゲーム市場はアメリカ、日本に次ぐ世界第3位で2013年には売上高が前年比で約30%増の約140億ドルだった。長期間にわたって、公式にはゲーム専用機が存在していなかったことから、PCゲームが市場シェアの3分の2を占めている。但し、闇市場ではゲーム機は存在していた。中国政府がゲーム機販売を解禁したのは、闇市場では税金がかからないからだという見方もある。 また、現在の中国では携帯電話販売のうち90%以上がスマートフォンであり、大都市では若者を中心に多くの人がスマートフォンを利用しており、スマートフォンでゲームをやる人が増加している。特に無料ゲームの人気が非常に高い。(参考:2014年Q1中国携帯電話市場: 90%以上がスマートフォンで初の1億台超え)。 そしてご賢察の通り、中国では海賊版のゲームが大量に出回っている(海賊版はゲームだけに限らないことも周知の事実だが)。ゲーム機メーカーにとってはハードの販売もさることながら、ソフトでのロイヤリティが重要な収益源である。マイクロソフトでは「Xbox One」向けに現在、70タイトル以上のゲームが開発段階で、1タイトルあたり99〜249元で購入できる予定である。中国では「Windows OS」の非正規品が大量に流出していることからマイクロソフトも市場については熟知しているだろう。 なお、ソニーも2014年5月に「プレイステーション4(PS4)」を中国市場に投入することを明らかにした。「PS4」は2014年8月に世界での販売が1,000万台を突破したと報じられている(※2)。 「Xbox One」は2013年11月にローンチされ、2014年4月までに500万台が販売されたとマイクロソフトは発表している(※3)。マイクロソフト、ゲーム機販売が解禁された中国で「Xbox One」を9月から販売またゲーム機メーカーにとっての脅威は海賊版だけではない。販売が禁止されていた間に、中国ではPCゲームや急速に拡大したスマートフォンでのゲームが普及している。 また中国政府がマイクロソフトの中国事務所を独禁法問題と推測される件で調査が入ったことが2014年7月末に国内外で多数報じられている(※4)。マイクロソフトと中国政府の間には、アメリカ国家安全保障局(NSA)のスノーデン氏の問題で過去にもめたこともある。マイクロソフトは中国政府から見ても「注視すべき企業」の1つである。これからの中国におけるゲーム市場でのマイクロソフトの立ち回りにも注目である。 【参考動画】 *本情報は2014年8月14日時点のものである。 ※1 30 Jul 2014, “Xbox One to Launch Next Generation of Gaming in China September 23” ※2 「PS4、世界販売1千万台を突破 ソニー、国内伸び悩み」(2014年8月13日) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140813-00000028-asahi-bus_all ※3 17 Apr 2014, “March NPD Results: Titanfall on Xbox One is Number One Selling Game” ※4 Reuter(2014) 28 Jul 2014, “Microsoft targeted in apparent Chinese antitrust probe” |
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