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InfoCom Law Report
2014年5月21日掲載

[本文へ戻る] パーソナルデータの匿名化に関する米欧の議論動向〜最新公表レポートから

【別紙1】 The White House, “BIG DATA: SEIZING OPPRTUNITIES, PRESERVING VALUES” (MAY 2014)の、”VI. Conclusion and Recommendations”のうち提言部分(p.59-60)を以下仮訳した。

ビッグデータ革命はまだ初期段階にある。我々は何年もかけてこの技術の広がりを理解すべく取り組む必要がある。すなわち、健康や教育、経済をどのように促進することができるか、そして重要な事は、プライバシーや公平性、非差別、自己決定といった米国人の価値観の本質にどのような示唆が与えられるのかといった点だ。
 この初期段階においても、本報告書の著者は、様々な領域においてどのように政府は取り組んでいくべきかをビッグデータは示すことができるという重要な結論はすでにでていると信じている。具体的には、ビッグデータ世界においてどのように利益を最大化し、被害を最小化するのかに関する米国内論争をもたらす5つの領域がある。

1. プライバシー価値の維持
米国及び相互運用されたグローバルプライバシーフレームワークを通じたマーケットプレースにおけるパーソナル情報の保護により、我々のプライバシーの価値を維持する。

2. 確実に責任を持った教育
学校(特に幼稚園から12年生まで)に対し、パーソナルデータ利用の保護とデジタルリテラシーやスキルの構築を行いながら、学習機会を促進するためにビッグデータを用いることは重要な領域であるということを認識させる。

3. ビッグデータと差別
ビッグデータにより可能になると思われる新たな差別が生まれないようにする。

4. 法執行とセキュリティ
法執行機関や公共の安全、国家セキュリティによるビッグデータの責任を伴う利用を保障する。

5. 公共資産としてのデータ
公共資産としてデータを利用し、公共サービスの向上のために用いるまた、ビッグデータ革命の更なる強化のための技術研究に投資する。

政策提言

本レビューでは早急に政府が留意するに値する以下6つの個別の政策提言を特定した。

・消費者プライバシー権利章典の進展
商務省はビッグデータの発展およびそれがどのように消費者プライバシー権利章典に影響を与えるのかについてステークホルダーやパブリックからコメントを求め、ステークホルダー達が検討できるような法案を考え、大統領が議会に提案する、といった適切な協議段階に入るべきである。

・国家データ漏えい法の制定
議会は、2011年5月の政府によるサイバーセキュリティ立法提案に従い、単一の国家データ漏えい基準を定める法案を通すべきである。

・米国人以外へのプライバシー保護の拡張
行政予算管理局(OMB)は1974年プライバシー法を米国人以外にも適用するか、もしくは、国籍に関係なくパーソナル情報を保護する適切かつ意味のある代替的なプライバシー政策を導入するよう各省庁・機関と連携すべきである。

・教育目的の学校による生徒のデータ収集の保障
連邦政府はプライバシー規制により、生徒を自身のデータ、特に教育利用で集められたデータ、が不適切に共有されたり利用されたりしないよう保障する必要がある。

・差別を阻止するための技術専門性の拡大
連邦政府は、保護すべき階級に対する差別のインパクトをもたらしうるビッグデータ分析による実践やアウトカムを識別することができたり、違法行為の捜査や解決のための計画をたてたりすることができる技術専門性を拡大するよう、公民権や消費者保護に携わる各機関を主導する必要がある。

・電子通信プライバシー法(ECPA)の改正
議会は、オンライン上のデジタルコンテンツを、実社会が保障するのと同様に保障するよう、ECPAを改正すべきである。これはEメールの既読・未読やその対象とする期間といった時代遅れの区別を撤廃することを含む。

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