ホーム > InfoCom Law Report 2014 >
InfoCom Law Report
2014年5月21日掲載

[本文へ戻る] パーソナルデータの匿名化に関する米欧の議論動向〜最新公表レポートから

【別紙2】Executive Office of the President, President’s Council of Advisors on Science and Technology, “BIG DATA AND PRIVACY: A TECHNOLOGICAL PERSPECTIVE” (May 2014)の、”Executive Summary”のうち提言部分(p.xiii-xiv)を以下仮訳した。

本検討の結果、以下5つの提言を導きだした。

提言1 政策はデータ収集・分析にではなく、ビッグデータの実際の利用に焦点をあてるべきである。
実際の利用とは、個人に対する不利な結果や被害をもたらす何かが起こる特定のイベントを意味している。ビッグデータの文脈では、これら(利用の)イベントは、生データもしくは生データの分析結果を利用した、コンピュータプログラムやアプリの動作の結果によって引き起こされるものがほとんどである。この形式では、データやプログラムそれ単体ではなく、これら2つの集合によって被害が生じる。これらの(商用や政府、個人による)「利用」が、主体の規制の具体的な必要性を具体化する。その一方で、PCASTはデータ収集、蓄積、保持、アプリケーションの事前制限、分析に対する規制に焦点をあてた政策は、プライバシー向上の効果的な戦略を生み出すことはないと判断した。そのような政策は、長期の発展性を見込めないし、また厳しい経済的なダメージを強制されることとなる。
提言2 あらゆる政府レベルの政策と規制は、特定の技術的解決策を取り入れるべきでなく、目的とするアウトカムの観点から規定すべきである。
技術的解決策に陥るのを避けるために、プライバシー保護に関係する政策は、メカニズム(「どうやって」)を規定するのではなく、目的(「何を」)を規定すべきである。
提言3 科学技術計画局(OSTP)との連携や奨励を踏まえ、ネットワーキング情報技術研究開発(NITRD)に関与する諸機関は、米国におけるプライバシー関連技術およびこれら技術を正しく適用するよう情報提供する社会科学の関連領域を強化すべきである。
いくつかの利用をコントロールする技術は既に存在している。しかし、研究(およびそれへの投資)は、プライバシー保護を促進する技術やプライバシー保護行動に影響を与える社会メカニズム、そして技術における変化や、経済的機会、国家優先度、プライバシー保護の適切なバランスを保つための強固な法的オプションといった領域で求められている。
提言4 OSTPは、適切な教育機関と専門家達と連携し、プライバシー保護に関する専門家へのキャリアパスも含めた、更なる教育・トレーニングの機会を増やすべきである。
プライバシー専門家になるための教育を提供するプログラム(セキュリティ専門家に行われたものと同様のもの)は必須で、更なる促進が必要だ。ソフトウェア開発と技術マネジメントとの両面におけるデジタルプライバシーの専門家になるキャリアを想像する者もいるだろう。
提言5 米国は現在存在する実践的なプライバシー保護技術の利用を促進する政策を採択することで、国際領域と国内領域の両方で主導していくべきである。これはパワー(例えば、基準の作成と適用の促進)や自身の調達実践(例えばプライバシー保護されたクラウドサービスの利用)におけるリーダーシップを示すことになる。
PCASTは海外においてより効果的なイノベーションや戦略が構築されているとは認識していない。むしろ、いくつかの国はPCASTが袋小路に陥ると信じる戦略を追求しようとする傾向がある。この状況は、世界においてプライバシーに関する米国の技術的なリーダーシップを提供できるし、提供すべきである。

[本文へ戻る]

▲このページのトップへ
InfoComニューズレター
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。
InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。