2001年2月にフランスのカンヌで開催された「3GSMワールド・コングレス」で展示されていた移動機等について、注目すべきものを紹介させていただく。コンファレンスと展示の併催でもあり、また欧州携帯電話業界によるイベントであるため、例年3月にドイツのハノーバーで開催される「セビット」ほどの展示規模はないものの、すべての展示を見てまわるには1日ではとても足りないほどであり、とくにこの2、3年でその規模を急速に拡大している。またイベント会場は商談の場でもあり、各企業にとっては自社開発製品をアピールする格好の場となっている。
●アルカテル
アルカテルは昨年のセビットで斬新な未来型端末のコンセプトを発表しているが、今年の3GSMワールド・コングレスでは、より近未来の端末をイメージしたものとなっている。ブルートゥース対応3Gモデムの「メディカル・ケア」アプリケーションでは、腕にマジックテープで装着したり手首にはめるセンサー付バンド型端末などが提案されている。
●サイオン 欧州発のOS「EPOC」搭載PDAで知られるサイオン(Psion)は、このコングレスでは2つの特徴的コンセプト・モデルを発表している。首にかけて使う端末「ヘイロー(halo)」は、ディスプレイを搭載せず、プロジェクタとして映像を投影して利用する。ブルートゥース対応GPRS端末は、ペンタッチ型ディスプレイを、カメラレンズを支点として回転するように本体に収納する形で、ヘッドセットは耳にかける。EPOCのロゴも本体に印字されている。ディスプレイ上では小型ウィンドウを重ねて表示、4人同時でのテレビ電話会議をイメージしている。

「halo」 マイクロ・プロジェクタ、音声認識、デジタルカメラ搭載。 首にかけて使う。 映像は手などに投影可能。 |
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 Bluetooth対応GPRS端末 28-80mmレンズ搭載、 ディスプレイは回転するように本体に収納、 ヘッドセットは耳にかける形。 |
●サジェム サジェム(Sagem)は移動機メーカーとしてはマイナーな存在であるが、今回のコングレスでは3G向け端末として2機種を発表、「ジェテオ(Geteo)」はテレビ電話会議をイメージした端末、「ピーブル(Peeble)」は音楽配信と高速インターネットをイメージした端末として展示していた。

3G端末「Geteo」 テレビ電話会議等を想定、 デュアルディスプレイとされている。 カメラでの静止画撮影、画像伝送可能。 |

3G端末「Peeble」 MPEG4、JPEG、RealAudio、MP3等各種 フォーマットのファイル・ダウンロード、 高速インターネット利用が可能。
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●ソニー ソニーは移動機メーカーとして欧州市場においても活躍しているが、このコングレスでは極めて特徴的なコンセプトの展示を行っていた。従来より、ユーザーが利用する端末への機能付加については、移動機に対して新機能を内蔵もしくは外付けする方法が一般的であるが、ソニーのアタッチメント付け替え型ペンダントのコンセプトは、それとは発想が異なっており、アタッチメントの中心(外付けされる側)はペンダント型の電池である。首にかけるヒモの部分が電池になっており、そのヒモからイヤホンが有線でつながっている。またヒモ部左側面にはメモリースティック用スロットが搭載されている。そのペンダントの先端を付け替える方式であるが、付け替えるアタッチメントとしてデジタルカメラ、音楽ファイル・プレイヤー、画像ビューワ(スクリーン)が用意されており、各種データのアップロードおよびダウンロードには携帯電話の底面部をペンダントに接続する方法を採っている。

アタッチメント付け替え型ペンダント 首にかける黄色い部分が電池。 側面にはメモリースティック用スロット搭載、 有線のイヤホンがつながっている。
デジタルカメラ、音楽ファイル・プレイヤー、 画像ビューワのそれぞれがアタッチメント型端末。 データのアップロード/ダウンロード には携帯電話(底面部)を接続。 |

腕時計型端末
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3G端末 左上:「ペンダント」 右上:「バイキング・サウンド」 中央下:「プロジェクター&コンピューター」 |
●トリウム(三菱電機)
欧州ではトリウム(Trium)なるブランド名で展開している三菱電機も、3G端末として3種類の特徴的端末を展示した。真珠貝をイメージした「ペンダント」、首飾りをイメージした「バイキング・サウンド」、PDA風の風貌を持つ「プロジェクタ&コンピュータ」の3種類は、その斬新なデザインで注目を集めていた。
各社とも来たる3G時代へ向けて斬新なコンセプトを提案してきているが、そのコンセプトのどれほどが実際に市場投入される端末に活かされるのか、今後の動向に期待したい。
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