アジア・太平洋オペレーション・センター計画
台湾の概要
- [基礎データ]
- 人口:2,148万(1996.12)
人当たりのGDP:12,240ドル(1995.12)
電話回線数:1,001万(46.6%)(1996.12)
セルラー電話加入数:97万(1997.1)
- [通信サービス提供状況]
- 基本電話サービスは、国内、国際両方とも、中華電信株式会社(Chunghwa Telecom)が独占的に提供している。中華電信は現在100%政府保有であるが、台湾運輸通信省は、1998年末までに、同社の発行株式のうち、16〜20%を外国企業および投資家に、25%を国内機関に、20〜30%を一般に売出す予定であることを7月発表した。
移動体通信(AMPS、GSM)についても、これまで中華電信が独占してきたが、1月、6つの企業コンソーシアムに対して、全国免許2、地域免許6の合計8免許が付与された。応札状況は盛況だったが、AT&Tが資本参加する合弁企業が2免許を取得、GTE、スプリント、SBCが出資したコンソーシアムもそれぞれ1免許を取得して、米国企業が過半数をこえる結果となり、落札企業の決定直後には、政治的な判断が加わったのではないかとの指摘もあった。しかし落札したものの、ほとんどの企業が、7月の時点でサービス提供に必要なT1回線を中華電信から獲得しておらず、1997年第4四半期まで開始が遅れる見込みである。台湾政府は、1997年1月、台湾の基本電気通信サービス全体を、それまで表明していた2001年の予定を前倒しして、1999年後半に開放するとの方針を明らかにしていたが、8月、日本の通産省に相当する台湾経済部が、当初の予定通り、2001年7月までに域内の通信市場を対外開放する方針を決定した。開放分野は域内長距離電話、国際電話、データ通信を含む全領域にわたる。
アジア・太平洋オペレーション・センター計画
政府の情報インフラ・プロジェクト(NII)チームは、6月、NIIプロジェクトが、今後4年間で、250億台湾ドル(約1,000億円)のビジネスチャンスをもたらすと明らかにしている。台湾では、電気通信の段階的自由化や電信総局の改編が順調に実施されているが、今後競争に直面することになる中華電信は、このNIIに対して、1998〜2000年の間に約190億台湾元(約775億円)を投資する予算措置を講じている。同社の広報担当者によれば、投資が行われるネットワーク・プロジェクトは
- HiNetネットワークへの8万2,500ポートの追加
- ATM交換機27台設置
- ISDNに23万900ポートを追加
- 欧州仕様のSDHシステムの建設
- 国際海底ケーブル18,112回線の建設
- 59,500キロの長距離・光ファイバー・ケーブル建設
- 38,600キロの市内幹線・光ファイバーケーブル建設であり、NIIプロジェクトの主要な目標の1つは、台湾を「アジア/太平洋地域のインターネット・センター」にすることだと述べている。
同プロジェクトが完成すれば、ISDNの島全体のカバー率は95%、光ファイバー・ケーブルのカバー率は100%となる見込みである。そうなれば、台湾のユーザは域内インターネット接続を20kbps以上で利用することができるようになり、料金面でも優遇される。 台湾政府は、「アジア・太平洋オペレーション・センター計画」を推し進めているが、特に21世紀に台湾をアジア・太平洋のインテリジェント通信ネットワークのハブにすることを目標とした「電信センター化」を優先的に進めることを、本年2月に李総統が表明している。その後、中華電信は、1994年半ばに打ち出された「台湾版情報スーパーハイウェイ(NII)構想」の一環として、島内のインターネット基幹網の整備およびインターネットを利用した高付加価値サービスの提供を行うと発表していた。 |
武川 恵美
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