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ハイパーアジア
1998年5月掲載

シンガポールの基本電気通信免許、NTT・BT連合が取得

 シンガポール政府は4月23日、NTT、英ブリティッシュ・テレコム(BT)などのコンソーシアムに基本(国内・国際)通信と移動体通信事業の新規免許を付与すると発表した。落札したのは、NTT、BTがシンガポールの電力会社シンガポール・パワー、政府系複合企業シンガポール・テクノロジーズと結成していた「スターハブ」。政府は当初最大2免許を付与するとしていたが、ワールドコム、ケーブル・アンド・ワイヤレス(C&W)が参加していたコンソーシアムには付与されなかった。

落札結果 落☆札 失×敗 失×敗
コンソーシアム名 StarHub TelecomONE Direct Line
参加企業

企業名は外資(出資比率)

Singapore Technologies(政府系コングロマリット、軍需、建設、電子機器製造に従事、ページング事業にも出資)
Singapore Power(政府系投資会社Temasek Holdingsが100%出資する電気・ガス供給会社)
NTT(20%)
BT(20%)
Singapore Press Holdings(35%、シンガポール国内の新聞発行をほぼ独占)
Keppel Group(35%、政府系コングロマリット、造船、不動産、金融等に従事)
Great Eastern Telecommunications(30%:C&Wが55%、香港テレコムが45%出資する合弁会社、携帯電話MobileOneにも出資)
Sembawang Co.(政府系コングロマリット、造船業等に従事。ISP事業者Pacific Internetに50%出資)
MRT(Singapore Mass Rapid Transit、シンガポール国内の鉄道会社)
WorldCom/(35%)

 スターハブに参加していた4社は近く合弁会社を設立する。資本金は未定だが、NTTとBTの出資比率はそれぞれ20%前後になると見られている(シンガポールの通信事業者への外資の最大出資比率は49%)。入札条件にも盛込まれていたようにNTTなどは「IT2000」*ビジョンを実現するため、今後約2,000億円を投じてシンガポールに通信網を構築する。国内・国際電話事業は2000年4月から開始される予定で、開始後は現在独占的に基本通信を提供しているシンガポール・テレコムと競争することになる。NTTはシンガポールへの進出で東南アジア地域の情報通信の重要な発信基地を確保したこととなる。

*IT2000:
シンガポールのインテリジェント・アイランド化を目指した構想。同国の電気通信が消費者、産業界に貢献し、広帯域マルチメディア・サービスへのアクセスを確保するため、広帯域マルチメディア対応の高速度、大容量の国家情報通信網を建設する。「シンガポールONE」はこれを実現するための中間的な構想である。
武川 恵美
編集室宛 nl@icr.co.jp
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