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ハイパーアジア
1998年6月掲載

マレーシア、外資規制を緩和

 マレーシア政府は1998年4月30日、5年間の期限付きながら、電気通信分野の外資規制を現行の49%から61%に緩和すると発表した。通貨・金融危機で国内通信事業者の一部の資金繰りが悪化しているため、緊急措置として外資の経営権取得を認めることにしたもので、同政府は本年2月に30%から49%に引上げることを決定したばかりであった。なおこれら2回の外資上限の緩和は既存の電気通信事業者が対象で、新たな事業者免許の付与は行われない。またテレコム・マレーシア(TM)への外資導入は検討すらされていない。

 マレーシアは現在、TMを筆頭に基本通信、セルラー、PCSを合わせると計9社の事業者に免許が付与されている。かねてから人口2,000万のマレーシアの市場規模に比べて事業者数が多すぎると指摘されており、政府はこれまでに事業者数は3〜5社が適当との立場を取っていたが、政治的な介入は行っていなかった。

事業者名 出資者 取得免許
国内 海外 国内 国際 セルラー PCN
テレコム・マレーシア 政府(67%) -
セルコム TRI(100%) ドイツ・テレコム
(TRIの21%所有)

ビナリアン ビナリアン(76%)
Permodalan Nasional(5%)
USウェスト(19%)
タイム・テレコム Time Engineering(100%) -

モビコム TM(30%)、
その他:現地企業
-


プリズマネット
(旧シャリカット)
PrismaNet 米International Wireless Communications(30%)


固定
セルラー

ムチアラ・スイスコム Berjaya Group スイスコム
(旧スイスPTTテレコム)
(30%)


MRCB Malaysia Resources Corp.(100%) -


サプラ・デジタル Time Engineering(75%)、
ユニホン、
サプラ・テレコム
-


 1997年2月のWTO基本電気通信交渉では既存事業者の株式取得は自由化するが、外資上限は30%を維持するとのオファーを提出するに留まっていた政府が、外資引上げを決定した背景には、新たに外国企業を引き入れることにより、国内通信事業者の再編を進めようとする意図が感じられる。

武川 恵美
編集室宛 nl@icr.co.jp
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