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2002年10月掲載 |
世界のネット・ランキングとオーストラリアの通信市場 国際電気通信連合(ITU)は、2002年9月、「Internet For a Mobile Generation」において、「携帯・ネット指数世界ランキング」を初めて発表した。ITUは、1997年から「ITU Internet Reports」(以前は「Challenges to the Network」)を作成しており、今回の報告書はシリーズの4回目にあたる。
ランキングは、(1)携帯やブロードバンドの利用者数などのインフラ、(2)接続料金、安全性の確保など使い勝手、(3)民営化の状況、規制当局の独立性など市場条件、の3分野に分けて、合計26項目の分析結果を元に総合評価している。世界の206カ国・地域中、1位は香港だった。 日本は総合評価で20位。「インフラ」は7位だが、「市場の条件」は44位と低迷、「使い勝手」で148位と大きく順位を下げた。アジアでは、香港、韓国(7位)およびシンガポール(13位)に遅れを取った。中国は47位だったが、ITUはフィリピン(33位)とともに、「1人当り国民所得の水準を考慮すると健闘している」と評価している。 表1:「携帯電話・ネット指数」世界ランキング
オーストラリアは、ITUの総合評価で18位だった。各指数毎の順位は「インフラ」は19位、「市場の条件」は29位、「使い勝手」で38位。
■テルストラの動向テルストラ以外の主要な事業者は、2001年にシンガポール・テレコムがC&Wから買収したオプタス、2000年にテレコム・ニュージーランドの子会社になったAAPT、携帯電話事業ではボーダフォンおよび香港のハチソン・ワンポアが出資するハチソン・テレコムなど、外国勢が目立っている。 国際電話および携帯電話市場におけるテルストラのシェアは5割を切っているが、依然、国内固定電話市場においては強く、市内では約8割、長距離でも約7割のシェアを保っておる。2000年以降、世界のIT不況の流れを受け、新規参入事業者の中には免許を返上して市場から撤退するものも現われ始めている。特に衝撃的だったのが、電話再販売と携帯電話で急成長し、一時は長距離市場で第3位となったワン・テルが、2001年6月倒産したことだった。これ以降、同国の通信各社のリストラが相次ぎ、オーストラリアの通信事業者は保守的傾向を強めているように見えていた。 そのような状況の中、最大手のテルストラは9億豪ドル(約585億円)を投資し、ブロードバンド・サービスを拡充すると発表した。テルストラの計画によると、ADSLサービスの高速化などで、現在17万人のブロードバンド加入者を2005年までに100万人とする。また、ブロードバンド分野の収入を年間10億豪ドル(約650億円)にまで引き上げる。 テルストラのブロードバンド・サービスの最低価格は現在60豪ドル(約3,900円)前後。当面価格は据え置き、サービス内容を向上させることで加入者を増やす考えである。 自国のブロードバンド・インフラの充実に資金を投入する一方、テルストラは、積極的にアジア市場へ進出する戦略を取っている。2002年7月、香港の携帯電話大手CSLの株式の4割を、香港の通信大手PCCW(パシフィック・センチュリー・サイバーワークス)から買取り、100%子会社とすると発表している。PCCWは株式売却により、香港の携帯電話事業から撤退することになる。CSLはPCCWが2000年に買収したが、OCCWの経営悪化から、2001年にテルストラが株式の6割を取得し、子会社としていた。テルストラは完全子会社化したCSLを足がかりに中国本土への携帯電話事業の拡大につなげたい考えである。 |
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<寄稿> 武川 恵美 編集室宛 nl@icr.co.jp |
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