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ハイパーアジア
2004年1月掲載

韓国のブロードバンドはどこまで伸びるのか?

 日本は2003年12月末にDSL加入者数がようやく1,000万加入を超え、1,027万加入となったが、韓国は、1年前の2002年末にブロードバンド加入数(DSL、CATVインターネット等の合計)が1,000万を超えており、人口100人当たりのブロードバンド普及率は21.28%と、第2位の香港の14.9%を引き離して世界トップの普及率を誇っている(日本は7.1%で第10位、ITU モBirth of Broadbandモ,2003.9)。

 ところが、これまで成長を続けてきたブロードバンド加入者は2003年9月をピークに10月以降、減少している。韓国のブロードバンドは飽和状態に達したのだろうか?

■ブロードバンド加入者数が減少

 韓国情報通信部(MIC)によると、2003年9月に1,132万だったブロードバンド加入者は、10月に1,115万に減少し、11月に1,119万と若干回復したが、12月は1,118万となった(図表1)。

図表1:韓国ブロードバンド加入者の推移と増加率

 韓国では1998年にthrunetが初めてCATV回線を使ったブロードバンド・サービスを開始し、2001年の1年間で加入者数が倍増、2002年末に1,000万加入を超えた。2003年3月にはいったん加入数が減少したものの、すぐに増加に転じたが、9月をピークに、加入者数は回復していない。

 ブロードバンドの回線別に加入者数を見ると、xDSLは増加しているが、ケーブルテレビ網を利用したCATVインターネットとアパートLANが減少している(図表2)。ブロードバンド加入数が回復しない理由に、CATVインターネットの減少が考えられる。

図表2:回線別ブロードバンド加入者数

■韓国通信のxDSLは増加

 ブロードバンドの提供事業者で見ると、1位、2位は市内電話サービスを提供している韓国通信とハナロ通信であり、この2社でおよそ75%のシェアを占める。韓国通信はxDSL、アパートLANおよび衛星で、ハナロ通信は、xDSL、CATVインターネットおよびアパートLANを通じてブロードバンド・サービスを提供している。

 韓国通信のブロードバンド加入者数は継続して増加しており、それに伴いシェアも微増している。2003年9月には48.8%だったシェアが12月には50%に達した(図表3)。ハナロ通信はCATVインターネットとアパートLANが減少して9月から25万加入減少している。thrunetはほとんど増減はないが、CATVインターネットとアパートLANを提供しているオンセ通信は約2万減少している。

図表3:ブロードバンド加入者数(事業者別)

 ブロードバンド加入数の減少は、CATVインターネットの、主にハナロ通信の加入数減によるものと考えられるが、今後もこのような傾向が続くのか、一時的なものかは経過を見ていく必要がある。ハナロ通信は、LGグループ、サムスン・グループ、SKテレコム・グループが出資しているが、2003年9月に米投資会社のニューブリッジ・キャピタルとAIGの投資コンソーシアムが総額11億ドルの出資を発表した後に、同年10月、LGグループが米カーライルとハナロ通信を共同買収する計画を発表するなど、経営をめぐる混乱が続いていた。

<寄稿> 武川 恵美
編集室宛 nl@icr.co.jp
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