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2003年2月掲載 |
情報通信の新潮流(第5回)
内外ブロードバンド事情 (1) |
通信事業研究グループ チーフリサーチャー 滝田 辰夫 takita@icr.co.jp |
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今日、ブロードバンドという言葉は世界中で市民権を得つつあるということができよう。IT革命推進の中心となるブロードバンドの普及促進に向けて、各国ともに様々な施策や取組みを行ってきている。これはさながら「ブロードバンド・バンドワゴン」とでもいった観がある。しかしながら、各国の現状や取組みには、国情や制度の違いなどを反映し、様々な違いがみられる。今回は、米国、中国、韓国の三国を選び、各国のブロードバンドの現状を紹介しつつ、今後の日本のブロードバンド普及に向けてどのような点が参考になるのか考えてみたい。
各国のブロードバンド加入数
まず日本を含めた米国、中国、韓国のブロードバンドの現状についてみてみよう。表に掲げたように、米国は圧倒的なブロードバンド利用者を抱えているように見える。しかし、人口普及率という点では、実は必ずしもそうではない。米国は約2億8000万人の人口を有し、中国は約13億人、韓国はぐんと少なく約4700万人、そして日本は約1億3000万人である。これをもとに、2002年6月時点の各国のブロードバンドの普及状況を、人口普及率でみると、表にあるように韓国が約20%と一位である。次いで米国の約6%、日本の約4%と続き、中国は約0.2%となる。現在のところ、ブロードバンドは、まだ携帯電話のように個人個人が保有して利用するものとはなっていない。そこで世帯数をベースに普及率をみると、米国は約10%程度の世帯普及率になるのに対し、韓国は60%以上にもなる。最近の情報によれば、韓国は2002年10月にブロードバンド加入数が1000万を越え、世帯普及率は70%にまで達する勢いである。内閣府の統計によれば、日本におけるCDプレーヤーの世帯普及率は約6割であり、VTRが約八割である。これを考えれば韓国のブロードバンド世帯普及率約7割というのがどれだけ高いのかお分かりいただけるだろう。 こうしてみると、ブロードバンドの進展という点では、韓国は世界最先端の位置を占めているということができる。しかも現時点のブロードバンドは、主にインターネットの利用を中心とするものであるが、本家本元の米国が長いインターネットの歴史をもっているのに対し、韓国のインターネットの歴史は比較的浅いことからも、韓国の躍進ぶりがうかがえよう。次回は、韓国急躍進の背景についてみてみることにしたい。
日本工業新聞「e-Japan戦略 IT立国への取組みと課題」2003年2月25日掲載
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