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124. 世界の情報通信2003年の展望(概要)世界の情報通信産業を取り巻く環境は2002年後半に減速した米国経済の回復の足どりが重く、米国頼みの日本や欧州も厳しい局面が続くと見られる。そこで主要キャリアーは2003年以降どのような展開を示すであろうか? ハイテク株の落込みや世界的株安に引き摺られたサービスプロバイダーの多くが2002年後半持ち直し、長らく苦しんだドイツテレコムやフランステレコムの株価が上がり始めたなかで、ベル系地方電話会社のベライズン・コミュニケーションズ、SBCコミュニケーションズ、ベルサウスの3社とAOLタイムワーナー、ヴィヴァンディ・ユニバーサルの株価は2002年後半も下がった。 AOLタイムワーナーの不調は主として他のISP特にマイクロソフトのMSNに圧されてAOLの加入者純増が減少し始めたことにより、ヴィヴァンディ・ユニバーサルの低迷はセジェテル株式売却がボーダフォンともつれ債務整理が遅れたためである。 ところが、ベル系3社株価の停滞には1996年連邦通信法制度のなかでコスト割れ市内回線卸売の是正策が紆余曲折している背景があり、2003年業績見通しについてはアナリストも悲観説と楽観説に分かれコンセンサスがない現状である。中にはブロードバンド部門を分割して規模が半分になったAT&T、ワールドコム破産処理後のMCI、長距離通信市場シェア第3位のスプリント長距離部門の3社とベル系3社が合併する(例えばAT&T+ベルサウス、MCI+ベライズン、スプリント+SBCと見る者もいる。 世界の2003年市場の主要点は次の通りと見られている。
125. EU電気通信の現状と新通信規制パッケージ(概要)2002年3月12日に欧州委員会が発表した第8次「電気通信規制パッケージ実施報告」の概要は以下の通りであった。 ヨーロッパにおける電気通信サービスの規模は1999年の1820億ユーロから2001年の2250億ユーロへ24%増加した。移動通信部門は2000年に32%増、2001年に21%増を記録し、普及率のヨーロッパ平均は今や75%に達した。既存通信事業者の国内通話料平均の値下げ率は自由化以降半分になり、国際通話料の値下げ率は40%s縮小した。しかし収入指数はなおプラスであり、EU15加盟国合計で2002年のGDP成長率1%増(2001年実績は1.5%増)の見込みに対し電気通信市場は5-7%増(2001年実績は9.5%増)と見込まれる。 固定サービス市場の競争促進に有効な事前登録制によるイコールアクセスは、住宅用加入発信市内通話に対する導入は倍増し(224社)、長距離・国際通話に対する導入は27%増加した。 設備ベース電気通信事業者数は2001年8月から2002年8月までに50社42%増えた。 利用者の支払い料金は2001年8月からの1年間に国内通話料が平均5%、国際通話料が平均4%低減した。 既存事業者と新参入事業者の提供料金比較では、新規参入事業者の料金がそれぞれ国内通話料は56%、国際通話料は65%既存事業者より安い。 移動通信市場の競争に伴い自動車電話通話料の平均月額は2000年から2002年までに23%減少し、その大半はこの1年間であった。 既存固定サービス事業者の市場シェアは、長距離・国際市場については2001年も減少したが、市内市場についてははおおむね安定した。 ディジタルTV市場は厳しかったが、普及率は改善され2002年現在21%になった。 DSL市場では総計752万回線のうち586万回線(22%)が既存事業のシェアだが、ブロードバンド市場の場合は総計1020万回線のうちケーブルモデム634万回線(59%)が新規参入事業者でDSL445万回線(41%)が既存事業者である。 欧州委員会は電気通信から電子通信に概念を拡大して2002年7月30日に新通信規制パッケージを発表した。主な特徴は次の通りである。
126. 訴訟の雲が晴れないマイクロソフト(概要)マイクロソフトの独禁法違反訴訟は、2002年11月2日にワシントン連邦地裁が司法省とマイクロソフトが合意した和解案を承認し訴訟継続組が提起した是正命令を却下したことで、次に示すとおり完全には結了しなかったが、基本的には終了した。
マイクロソフトは独禁法違反訴訟に勝ったと言って良いのだが、1998 年5月の訴訟提起から今日までの4年半にコンピュータ業界のライバルが総崩れになり、2000年からは成長が鈍化し、独占的な企業体質と散々に批判されたため、独り勝ちの果ての逼塞感に包まれている。孤立を避けた協調戦略、顧客満足度の向上、倫理の一層の順守などが求められ、従って自己革新に努めているが、周囲の疑念はなかなか晴れずマイクロソフトに対する民間訴訟はあとを絶たない。 |
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<寄稿> 高橋 洋文(元関西大学教授) 編集室宛 nl@icr.co.jp |
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