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142. 株主資本利益率最高のネクステル(概要)米国経済のデフレ懸念が後退し景気浮揚の期待から米日欧それぞれの株価が堅調となり、情報通信企業の時価総額も回復してきた。従来通り整理した「表1 世界の情報通信サービスプロバイダーTOP20(2003年6月30日現在)」を見ると、ほとんどの企業が3月末からの3カ月間に上昇している。この表はニューヨーク証券取引所上場企業でも本拠地の資本取引が完全自由化されてない途上国企業や親会社から分離後間もないため従属性ある企業は除いているので、順位は参考に過ぎないが、第20位ネクステルは最近発表されたビジネスウィーク誌「情報技術トップ100社」のNo.1にランクされたことから注目される ネクステルは1987年4月設立・1992年1月上場の米国第5位移動通信サービス企業で1999年6月に発売した「ネクステル・ディレクト・コネクト」ブランドのビジネス向けディジタル無線サービス、広域ディジタル・ウォーキー・トーキー・サービスが主力サービスである。如何なる場所にいて如何なる相手とも個人ベースないし会議ベースで直ぐ簡単なプレストークでコミュニケートできることが売りで、真似されないよう「プッシュ・ツー・トーク(PTT)」を商標登録している。セールスマン・エンジニアー・建設作業員・トラック運転手などに大ヒットし今日に至っている。 ビジネスウィーク誌のネクステル評価は次の通りである。
143.宙ぶらりんのケーブル・アンド・ワイアレス2002年度決算(概要)2002年度上半期業績(2002.11.13発表)に伴う株価暴落でG.ウォーレスCEOが辞任し(2003.1.21発表)、引継者F.カイオCEOが2カ月後に漸く就任した(2003.4.2発表)ケーブル・アンド・ワイアレス(C&W)は、$111億の大幅赤字・抜本的事業再編成を打出しつつ2003年度計画の具体的展望を欠いた2002年度決算案を2003年6月4日に発表した。年次株主総会は2003年7月25日に開催される。 C&Wは新経営戦略の柱として従来グローバル部門(米国・英国・欧州・日本の4地域)と地域部門(カリブ海・パナマ・マカオ・その他の4地域)の事業本部制で運営してきたものを改め、2部門を解散して8ユニット独立採算制を採用する。そこで2003年3月期決算では、従来事業本部一括で来た収入・支出などの会計項目について振り分け作業を行い、また外国為替レートの変動に伴う計算替えを行った。 こうした作業結果の業績数値と事業再編成の要点は次の通りである。 表2. C&W2003年3月31日に終わる年度の業績と事業再編成を発表
C&Wの経営再建は欧州事業については既に2002年11月にフランス・スペイン・イタリア・ドイツ等での中小企業顧客対応業務の再編成を打出しマネージメント・バイアウト(MBO、投資会社から資金支援を得て本体から事業を買取り独立する方式)による整理を検討中だが、米国事業について撤退声明を出したものの、売却か整理かは選択していない。また、英国事業は130年来の本拠地だか当然ように存続するとして事業運営の中核をどうするのかがまだ見えない。まだ宙ぶらりんの報告に見える。 144. ディジタルコンテンツを巡るネットワーク・著作権管理のせめぎあい(概要)アメリカレコード協会(RIAA)はインターネットによる違法な音楽ファイル交換を行っている個人を徹底的に追求し告訴すると勢いこみ、音楽ファイル交換サービス業者はオンラインファイル交換をアピールするロビー活動団体分散処理産業協会(DCIA)を目論み、ディジタルコンテンツを巡るネットワークと著作権管理の対立は相変わらずである。 RIAAの発表はインターネット上で音楽を大量に無料交換している個人を相手取り、8月中旬頃までに著作権侵害で提訴し最高$15万の損害賠償を求める、まず1000曲を超えるような大量蓄積・無料交換を行っている大口利用者を訴え、逐次対象を広げてネット無料交換で他人に音楽を流している者は誰でも訴訟の対象にすると言うもの。 RIAAの強硬姿勢にもかかわらずインターネットによるファイル交換は衰える気配がない。最も人気が高く約2億4000万人のユーザを抱えるカザーの最近の例では、6月25日の半日で430万人の利用があり、8億9000万曲のファイルが交換されたと言う。 |
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<寄稿> 高橋 洋文(元関西大学教授) 編集室宛 nl@icr.co.jp |
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