ホーム > レポート > 世界の移動・パーソナル通信T&S > 最新号へバックナンバー
世界の移動・パーソナル通信T&S

2002年1月号(通巻154号)

■米IEEE、携帯電話のSAR値に関する草案を発表

IEEE(米国電気電子学会 Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)は携帯電話のSAR(比吸収率 Specific Absorption Rate)値の新しい基準をドラフトとして示した。SARとは、生体が電磁界にさらされる際に単位質量の組織に単位時間に吸収されるエネルギー量をいう。日本では「6分間における人体局所の任意の組織10gにわたり平均化したもの」(総務省資料より)とされ、電波防護規制値として「人体組織10g当たり2W/kg」とされている。欧州CENELEC(欧州電子技術標準化委員会 European Committee for Electrotechnical Standardization)でも「人体組織10g当たり2W/kg」とされているが、米国ではIEEEやANSI(米国規格協会 American National Standards Institute)により「人体組織1g当たり1.6W/kg」となっている。

■EU新「通信パッケージ」、2001年内の採択を持ち越し

2000年のリスボンEUサミットにおいて2001年末までの採択が表明されていたEUの新「通信パッケージ」は、2002年にその採択が持ち越された。雲行きが表面だって怪しくなったのは、2001年5月、BTが業績悪化からモバイル部門をスピン・オフするという報道が流れてからだった。当初、通信関連事項はEUサミットの主要議題に予定されていなかったようだが、主要議題となりうる可能性が議長国サイドからも指摘された。

■EU、電気通信規制パッケージの実施に関する第7次レポートを発表

欧州委員会は2001年11月28日、加盟国における電気通信規制パッケージの実施状況に関する第7次レポートを発表した。第7次レポートでは、欧州経済の停滞が続くなか、電気通信サービス収入は今年9.5%の成長率を記録し、2,180億ユーロとなったが、その反面EU電気通信規制を実行するにあたり、甚だしいボトルネックが残っていると指摘している。本稿では移動体通信を中心に第7次レポートの内容を紹介する。

■フランス、3G免許料支払をめぐる動向

フランスでは、2001年5月31日に事業者へ第3世代移動通信免許が付与されたが、その免許料が高額であるとの事業者側の主張を受けて、政府が大幅な値下げを行い、また免許条件もロイヤルティ料率としての課税を行うこととなった。以下に、免許付与から値下げと免許条件の変更が行われるまでをまとめた。

■米オムニスカイ、連邦破産法11条の適用を申請へ

米国の大手ワイヤレス・サービス・プロバイダのオムニスカイ(OmniSky)は2001年12月7日、同社が所有する資産と契約者情報を、米国第2位のインターネット・サービス・プロバイダであるアースリンク(EarthLink)へ売却することを合意したと発表した。この売却が実施されるためには、連邦破産裁判所の合意と、引き続き行われる入札手続きによりアースリンクが適切に落札することが必要となる。アースリンクの入札額よりも高い額を提示する入札者が現れた場合には、この合意が反故になる可能性がある。オムニスカイはこれらの手続きが完了するまでサービスの提供を継続することになる。また、2001年度中に予定されていた英国とドイツでのベータテストやその他の国への事業拡大等の計画については未定。

■欧州の移動体アプリケーション開発は活性化するか

欧州委員会が資金援助を行なう汎欧州次世代移動体サービス技術のプロジェクト募集が12月4日に締め切られた。このプロジェクトは7bisと呼ばれ、情報社会総局の管轄となるもので、高速移動体データ通信環境で生じると予想されているネットワーク間の互換性問題を解決し、迅速な3Gサービスの展開を達成することを目的としている。入札に成功した企業(数プロジェクトになると考えられる)はトライアルのために総額2,500万ユーロの補助金をEUから受けることができる。例として考えられるプロジェクトは、高速アプリケーション向けの課金、決済メカニズム、サービス品質、セキュリティの管理、2.5G−3G間の技術互換性、2.5G−3G間のシームレス・ローミングなどであり、EU域内における統一的な採用を念頭においたものとなる。2001年3月の欧州委員会のコミュニケでも、暗雲の垂れこめる3G市場に技術実験援助などの措置を行ないたいとの意向が表されていたが、今回のプロジェクトはそれを受けたものとなっている。

■日本で始動しつつあるモバイル・コマース

米ストラテジー・アナリティクス(Strategy Analytics)の2001年1月の発表によると世界のモバイル・コマース(Mコマース)市場は2006年には2,300億ドルに達する見込みだ。この市場に向かって、移動通信事業者、ISP、銀行、SI事業者、またクレジット・カード会社などが真剣に取り組み始めている。ここでは、日本で始動しつつあるMコマースについてとりまとめてみる。なお本稿では、モバイル端末を用いた単純な通販などはとりあげない。

■韓国SKテレコム、世界初1xEV-DO試験サービスを開始

SKテレコムは、2001年11月17日よりソウルおよびその周辺都市において世界で初めてcdma2000 1xEV-DO(1x Evolution-Data Optimized/Only)を試験サービスとして導入した。ソウルにおける商用フルサービスは2002年3月からの予定で、2002年4月には26の都市へ展開する計画である。SKテレコムは、ADSLレベルの高速ワイヤレス・インターネット・サービスを楽しむことが可能になるであろうと期待している。

■P2P技術JXTAが携帯電話に拡張 −携帯電話とP2Pの現状−

[NEW]全文掲載

■スイスのサイキャップ、プリペイド携帯電話の度数充填に他事業者のバウチャーを利用可能とするシステムを商用化

スイスの通信関連システム・ベンダーであるサイキャップ(SICAP)は2001年10月28日、プリペイド式携帯電話の利用者が他事業者のバウチャーを利用して度数充填を行うことも可能とする業界初のシステム(Roaming Reload Manager)の提供を開始したことを発表した。欧州諸国においてはプリペイド顧客の急増にともない単位ユーザーあたりの売上(ARPU)が著しく低下しており、各移動通信事業者は契約型サービスにマーケティングの重点を戻す一方、プリペイド顧客のARPUを高めるために頭を悩ませている。プリペイド・サービスのARPUを高める上で有効な施策の1つがグローバル・ローミング・サービスの提供であり、数多くのGSMオペレータが提供に踏み切っているが、これまで、ローミング中の度数充填に制約があり、必ずしも使い勝手の良いものではなかった。

■加速するモバイル・インターネットにおける主導権争い

携帯電話やPDAを利用したインターネット・サービスの利用者が世界的に増加するにつれ、この分野での業界を超えた主導権争いが加熱している。移動通信業界では、ノキアを中心とする主要な端末ベンダーや移動通信事業者が、オープンなアキテクチャーのもとにサービスを構築することで合意した。パソコン業界で覇権を握るマイクロソフトでは、携帯端末を視野に入れウィンドウズを中心としたOSやソフトウェアの延長となる統合的なサービスを開発し、パソコン・ユーザーをそのままモバイル・インターネット分野へ導く構想を立て、移動通信業界への勢力拡大を図っている。

■米ワーカ社、携帯電話でペプシが購入できるサービスを開始

米カンザス州のカンザス・シティーに本拠地を置くモバイル・コマース・ソリューション・プロバイダーのワーカ社(Wirca)は2001年11月26日、携帯電話でペプシなどの清涼飲料水が購入できる米国初のモバイル・コマース・サービスをカンザス州カンザス・シティーなどで開始したと発表した。
まず、ユーザーが清涼飲料水を購入する際のプロセスから説明しよう。ユーザーはまず、特定のウェブ・サイト(http://www.wirca.com/Pepsi/)にアクセスし、アカウントを作成する。その際に必要な基礎情報は、氏名、暗証番号、自販機または販促物に記載してあるサイン・アップ・コード、そして携帯電話の番号である。一度アカウントを作成すれば、利用履歴閲覧やアカウントへの入金(プリペイ)がウェブ上で可能となる。実際に自販機にて商品を購入する際は、アカウント作成時に登録した携帯電話から、自販機に記載してある番号に電話をかける。ユーザーにとっては、自販機に電話をかけている感覚だが、実際には、ワーカ社のコンピューター・センターに接続される。コンピューター・センターは発信者の電話番号を確認し、ユーザーは続けて暗証番号と欲しい商品の番号を入力する。すると、アカウントから料金が引き落とされ、今度はコンピューター・センターが自販機に電話をかけ、ユーザーの選択した商品が出てくるという仕組みになっている。

■AT&Tワイヤレス、米国初の異方式ネットワーク間SMS着手

AT&Tワイヤレスは2001年11月、異なる方式のネットワーク間でも容易にSMS送受信が行えるサービスに着手した。サービス開始時期は不明だが、これが実現すれば米国初のサービスとなり、今後のSMS発展の鍵を握っている。欧州やアジアにおいて成功を収めているサービスのひとつとして挙げられるSMSであるが、米国でのSMSには米国ならではの問題点がひとつあった。それが異方式間の相互接続性である。GSM方式が標準的な欧州において、このような相互接続性が問題となることは少ないが、異方式のネットワーク(TDMA、CDMA、GSM、iDEN)を持つ事業者が乱立する米国では、SMS市場の発展を妨げる大きな要因の一つとされている。

■欧州の第3世代携帯電話の導入、主力は2003年以降に延期

[NEW]全文掲載

サービス内容、ご利用料金のお問合せは下記へお願いします。
InfoCom世界の移動・パーソナル通信T&S(ご案内)

▲このページのトップへ
InfoComニューズレター
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。
InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。