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<トレンド・レポート>
競争法と分野規制の融合(1)
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1999年12月(ジュネーブ) 電子証明と認証局 2000年6月(ジュネーブ) IPテレフォニー 2000年9月(ジュネーブ) 固定発移動着相互接続 2001年3月(ジュネーブ) 世界電気通信政策フォーラム:IPテレフォニー 2001年5月(ジュネーブ) ブロードバンドにおける規制問題 2001年9月(ジュネーブ) 3Gモバイルの免許政策 2001年11月(バンコク) 南東アジアにおけるインターネット 2001年12月(ジュネーブ) 多言語ドメイン・ネーム:ITU/WIPO共催シンポジウム 2002年4月(ジュネーブ) 高度発展途上国におけるIP接続の改善 2002年5月(ソウル) クリティカル・ネットワーク・インフラの信用創造 2002年11月(ジュネーブ) 電気通信における競争政策 |
【ITU加盟国による希望議題トップ10
( 2003年のワークショップの候補)】 1位 ブロードバンド・ネットワークの促進 |
通信自由化が叫ばれて以来この方、昨今の通信不況にもかかわらず、世界各国における通信市場への競争導入は依然進展している。ITUの資料によると、市内サービスに競争が導入されている国は2000年の68から2001年には79に、長距離サービスは市内同様の時点での比較で53から66へ、国際サービスは同様に57から69へと増加している。この通信市場への競争導入の動きを再度強化したのが、1998年2月に発効したGATSの第四次議定書である。更に2001年末期に、新加盟国中国をも含む総計86のWTO加盟国が、電気通信サービスにおける市場アクセスの確保を公約した。また、2001年11月にドーハ首都カタールにて開催されたWTO閣僚会議開催中に、通信市場も含めた全業界を対象とする新たな包括的開発協議が設置されたことで、通信市場自由化は明確に継続されることとなった。
しかし、市場開放は競争導入を意味しても、競争の進展を約束するものではなかった。確かに、競争の一番の指標たる料金は年々下がってきているが、相も変わらず既存事業者が市場力を掌中にしており、(ある人々によれば通信市場特有の原因によって)未だ通信市場に残存する競争阻害要因に対して、直接的に介入している。また各国政府は、競争を公共政策達成のための独占規制に替わる手段と見なし、全体的な経済政策に鑑みその競争効果が望ましいものではないと判断した時には、競争市場に介入する用意があることを示している。このような状況が、通信自由化という施策のたどり着く最終地点たる「有効競争が存在する状態」への、未だ過渡期にある通信市場の制御方法とその管轄権を巡った問題
世銀の定義によれば、競争政策とは「競争市場促進の意図を持って、供給者の行動及び業界構造に直接影響を与えるために政府が用いる手段の広大な範囲を大雑把に説明するのに使用されている用語」のことなのだそうであるが、その手段とは競争法のそれのみを指しているわけではない。競争政策を通信市場において推進する際には、競争法と通信規制という異なった2つの方式が通常用いられている。両者の違いはもちろん存在するが(次頁の表を参照)、同時に似てもいる。双方ともドミナンスの取り締まりをその主な役割としているが、両者の相違を一言で言えば、よく言われる「事前/事後」ということよりも、「悪さを必ずするものであると想定して、それが起きないような措置を施しておく(性悪説)」ことを是とするか、「起こしてしまった悪行のみを基本的に対象とする(性善説)」ことを是とするかの違いではないかと思われる。このスタンスの違いが、「事前/事後」という対処方法の違いに反映されているのだろう(ただし、あくまでも介入方法にのみ着目した見方であり、競争法そのものが性善説的かどうかは、また別の問題である)。通信当局が、競争を独占規制の代替と見なしていることから導かれる帰結なのであろうか。
いずれにせよ、この異なりつつも同じような2つの形式の併存は、為政側にも事業者側にも多大なる混乱をもたらしている。両者の関係はどうあるべきか、そしてどう捉えるべきか。また、現状において各国はどのように両者を扱っているのか。以上の点を探るべく、ワークショップでは6つの論点と4カ国の事例研究の検討が行われた。6つの論点とは、
である。紙幅の関係から、これら全てに関して触れることは不可能なので、以上のうちいくつかに焦点をあてる。
まずは、次回において米国の事例研究につき見ていく。
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