2005年4月号(通巻193号)
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世界の移動・パーソナル通信T&S
<トレンドレポート>

3GSMとセビット(CeBIT)2005に見る移動通信のトレンド

 恒例の3GSM世界会議が2月中旬にフランスのカンヌで開催された。3月中旬にはドイツ北部のハノーバでも大規模な商品見本市セビット(CeBIT)2005が開催された。3GSM世界会議における展示で携帯電話が中心になるのは当然だが、セビット(CeBIT)2005でも主役は携帯電話と無線ブロードバンドだったという。3GSM世界会議は来訪者が2004年に較べ50%も増加して4.5万人となり、会場は熱気と興奮に包まれたという。ようやく通信業界にも無線通信を主役に「警戒的な楽観主義」が戻ってきたようだとマスコミは報じている。欧州で開催された2つの見本市で語られたことを通じて、移動通信市場の最新トレンドを考えてみたい。

■成長余地が残る移動通信市場

 3GSM世界会議がカンヌで開催されるのは今回が最後で、2006年から会場はスペインのバルセロナに変わる。主催者(GSMアソシエーション)が移動通信市場のさらなる成長を確信し、カンヌでは会場が狭く十分なスペースが確保できないと判断しことがその理由である。携帯電話機メーカー1位のノキアは、2004年末における世界の携帯電話加入数を17億、同年に出荷された携帯電話機を6億4,300万台(同年に世界で販売されたパーソナル・コンピュータの3.5倍に相当する)と推定し、2010年の世界の携帯電話加入数を30億と予測している。(現在の世界の人口は約63億人)

 世界的規模でみれば、携帯電話市場は間違いなく今後も成長が期待できる。この成長の背後には2つのトレンドがある。1つは発展途上国における普及率の向上が期待できることであり、今後5年間の世界における加入数増加の8割を占める見込みだ。もう1つは携帯電話機の高機能化とネットワークの高度化である。これは、市場が成熟化して新規顧客の成長が見込めない先進国で、既存の加入者の旧い携帯電話機を、5年前のデスクトップ・パソコンよりも高機能の新しい携帯電話機に取り替えるために必要である(注)

(注)Atelecom show’s no-show:gloom(BusinessWeek online / February 22,2005)

■見えてきた第3世代携帯電話の本格普及

 今回の3GSM世界会議における最も大きなニュースは、遅れに遅れた第3世代携帯電話(3G)の本格展開が、遂に欧州でも始まったことだ。現在全世界で45社がW−CDMA標準に基づくネットワークを運用しており、2004年末の加入数は1,600万である。ノキアの予測によれば2005年末には7,000万となるという。一方、CDMA2000標準に基づく3Gネットワークを運用する携帯電話会社は、クワルコム社によると全世界で70社、2004年末の加入数は1億3,000万である。
2004年における3Gの急展開は、導入が遅れて失意の中にあった移動通信産業を驚かせ喜ばせているという。2006年までは3Gのマス市場が離陸するとは思えないといっていたノキアでさえ、現在では3Gの急発信を認めている。しかし、欧州で一部の顧客が契約しようとしているのは、携帯電話会社が提供する3Gの音声サービスの料金が魅力的だからである。それが可能なのは、3Gの音声サービスのコストは第2世代デジタル方式(2G)のコストの5分の1だからだ、と前掲のビジネスウイーク(BW)誌は指摘している。

 しかし、携帯電話の顧客は、ジャバのプログラミング言語を使ったゲームのダウンロードからデジタル・ムービー・クリップやビデオ会議まで、徐々に無線データ・サービスを利用し始めている。ノキアは、2008年には世界のモバイル・サービス・ビジネスは8,250億ドルを超え、そのうち4分の1をデータが占めると予測している。

■3Gのデータ通信速度の向上に期待

 それでも3Gは、ハイテク・バブルの頃に期待されていたような高い利益をあげることは期待できそうにない。現在利用可能な3Gのデータ接続速度は約200Kbps(顧客の中には80kbps以下の利用しか出来ないというケースもある、これだと2Gの4倍の速度に過ぎない)程度で、当時想定していた1Mbpsより遥に遅いからである。2Gとの速度の差が小さいということから、携帯電話会社が何十億ユーロもの投資をして3Gを展開する価値があるのか、という疑問も出てくる。

 これに対して、携帯電話設備メーカーは新しい解決策を提唱している。3Gネットワークがフルに展開される前であるにもかかわらず、既に設備メーカーはデータ伝送速度が約10倍に早まる3Gの改良技術HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)の売り込みにかかっており、2005年内にも出荷が可能であるとして3GSM世界会議で関連製品をアピールした。HSDPAにより携帯電話会社は、高解像度の双方向ゲーム、マルティメディア音楽配信、DVD並の高品質ビデオなどのモバイル・ブロードバンド・サービスを提供できるようになる。また、データ通信料金の定額制の導入と普及によってユーザー当りのパケット使用量の急増が見込まれることから、携帯電話会社には効率の良いHSDPAを導入してトラフィックの混雑を避けたいという意向もある。

 同時に、全世界の携帯電話会社は、WiMAX(半導体チップ・メーカーのインテルが強く支持している)を含む3Gとは全く異なる無線通信技術に注目している。最初のWiMAX標準に準拠した製品は2005年末までに出荷される見通しである。また、インテルは2006年にはラップトップ・パソコンにWiMAXへの送受信機能を付加するチップの出荷を計画している。初期バージョンのWiMAX(理論的には50kmの距離を70Mbpsの速度でデータ伝送が可能)は、Wi−Fi同様静止した状態のラップトップ・パソコンとの間でしか通信ができないが、数年後に実現が期待されている後期バージョンのWiMAXでは移動中の利用が可能となる見込みだ。モバイルWiMAXが「3GプラスHSDPA」と対抗できるか、ゲームの利用で3Gに勝てるかどうかが、将来の市場競争における決戦場となる、と前掲のBW誌は書いている。

 3GSM世界会議では「3GプラスWi−Fi」についても関心が集まった。オレンジはこれまでのWi−Fiの充実を強調したうえで、今後の3G/Wi−Fi融合サービスの戦略を明らかにした。T−モバイルは、全世界で2万ヵ所のホットスポットを設置し、掲帯電話とWi−Fiの融合をサービスを展開する計画を発表した。

■Music,Music,Everywhere

 3Gを別にすれば、携帯電話で聴くデジタル音楽が、2005年の3GSM世界会議における最大の話題だった、と前掲のBW誌はレポートしている。ここ数年でMP3フォーマットによるいくつかの小さなファイルを携帯電話機に転送し、携帯電話機に内臓されたプレイヤーで再生し音楽を聴くことが可能になった。しかし、メモリーの容量とバッテリーの持続時間、それに音楽のダウンロードの合法性に関する疑問といった制約から、商品化はかなり先送りされてきた。ノキアは2004年に音楽の再生が可能な携帯電話機を1,000万台販売したが、実際にこの機能を利用している顧客は少数だという。

 しかし、今日ではノキアやその他の携帯電話機メーカーは、音楽再生機能付き携帯電話機の量産に努めている。ノキアは3GSM世界会議で、この動きをさらに強めると見られる2つの重要な提携を発表した。携帯電話機で音楽を聴くためのソフトであるウインドウズ・メディア・プレイヤーとコピー防止技術に関するライセンス契約をマイクロソフトと締結した。これと引き換えにマイクロソフトは、GSMコンソーシアムが開発したファイル・フォーマットとコピー防止の標準を採用する。2つの有名な宿敵の間で画期的な協定が締結され、利用者はパソコンから携帯電話機に、あるいは携帯電話機からパソコンに、合法的かつ容易に音楽をダウンロードできるようになるのだから、このことによる真の勝利者は利用者である、と前掲のBW誌は書いている。

ソニーエリクソンW800 ノキアは2004年から、最大の音楽サービス・プロバイダーである米国のラウドアイ(Loudeye)と提携関係にあるが、最近その提携内容を充実させた。アップルのiTunes music storeとiPod音楽プレイヤーの成功に触発されて,音楽ビジネスを立ち上げようとしているノキアが、広い範囲のデジタル音楽に関する権利を保有しているラウドアイと提携するのは適切な選択である。このビジネスにおけるノキアの役割は、顧客にデジタル音楽を販売するため、あらかじめパッケージ化されたプラットフォームを携帯電話会社に提供することである。これまで、このプラットフォームの利用を計画していると表明した携帯電話会社はないが、自社で音楽配信サービスのシステムを開発するよりも低廉な代替手段として、2005年中には数十社が契約する可能性があるという。

 ノキア以外の携帯電話機メーカーも、音楽配信ゲームに参加しようとしている。ソニー・エリクソンは2005年中に、数種類の音楽再生機能付き携帯電話機の発売を計画している。ソニーは自慢のウォークマンのブランド名をソニー・エリクソンの携帯電話機に利用することに合意したことを明らかにして、3GSM世界会議に集まった人々に波紋を広げた。2005年3月1日に発表した同社最初のウォークマン・ブランドのGSM端末 W800 は、MP3とAACの音楽ファイル・フォーマットに対応し、500Mバイトのメモリー・スティック・デュオに約150曲、CD10〜12枚分を蓄積可能で、バッテリー・ライフは30時間である。重量は100グラムを切り、2Mピクセルのカメラを内蔵している。発売予定は2005年第3四半期である。

 世界第3位の携帯電話機メーカーであるサムスンは、より多くの音楽を蓄積するため、超小型のハード・ディスク・ドライブ(HDD)を内蔵した携帯電話機を開発し、アップルのiPodに対抗しようとしている。サムスンは既に1.5GバイトのHDDを内蔵した携帯電話機を市場に出しているが、2005年中には3Gバイトのモデルを市場に出す計画である。一方、モトローラはセビット(CeBIT)で発表するはずだったiTunes対応携帯電話機の発表を延期した。

■デジタル・テレビが受信できる携帯電話に注目

 3GSM世界会議のデモンストレーションで、音楽のダウンロードと再生が出来る携帯電話機とともに注目を集めたのは、デジタル・テレビ放送が受信可能な携帯電話機だった。ノキアは、モバイル向けデジタル・テレビ標準 DVD−Hで動作する「モバイル放送ソリューション」のデモを同社の端末ノキア7700 を使って実施して注目を集めた。同社は現在「モバイル放送ソリューション」の技術試験を実施中で、2006年上半期にも商用化を予定している。DVD−Hは欧州のデジタル・テレビ放送規格標準化団体が策定した標準で、テレビ向けのコンテントやデータを携帯端末に送信するための仕様である。この標準を採用したことで、地上波デジタル放送向け標準DVD−Tとの両立性が確保されるという。

 韓国のLG電子は、2004年末に発表した地上波デジタル・テレビ放送対応携帯電話機 LT1000のデモを行った。この端末は、ビデオ圧縮技術 H・264に準拠し、1秒間に30フレームを表示する。2時間の視聴が可能で、映像を普通のテレビにも出力できる。価格は850ドルを予定している。サムスン電子もモバイル放送対応端末 SCH−B100 や地上波デジタル放送対応の端末を展示し積極的にアッピールしている。

 エリクソンは3G規格のデジタル放送対応製品を開発中で、携帯電話で音声、インターネット及びテレビの3つのサービスが利用できる「トリプル・プレイ」の実現を目指している。同社は、デジタル放送対応の携帯電話の実現によって、固定通信と移動通信、放送と通信の融合が本格化する、と強調している。

 フィリップスは3GSM世界会議で 、DVD−Hに対応したデジタル・テレビ受信の全機能を親指の爪ほどの小さなチップに実装した携帯電話向け「システム・イン・パッケージ(SiP)」を、2005年第4四半期から出荷を開始すると発表した。東芝もデジタル放送標準に対応したシングル・チップLSIやモバイル放送端末を展示した。日本でも2005〜2006年にかけて携帯電話向け衛星モバイル・デジタル放送(DMB準拠)が開始されると見られている(注)

(注)進化する携帯電話−3GSM展から3 (電波新聞 /2004.3.4)

■発展途上国向けに40ドルの携帯電話機を提供

 上記のようなデジタル・カメラ、音楽再生プレイヤーやパーソナル・オルガナイザーなどの機能を持った高級な携帯電話機は、富裕な顧客向けの製品である。しかし、これからの携帯電話産業は従来以上に、アフリカ、南アジア、東欧およびラテン・アメリカなどの開発途上の経済に成長の機会を求めていくことになるだろう。アナリスト達は、今後数年間における携帯電話加入数の増加の80%は、これらの地域からもたらされると予測している。

 3GSM世界会議を主催したGSMアソシエーションは2004年、これらの国々における移動通信サービスの拡大を促進するため、新興国市場における携帯電話の普及率を高めることが期待できる超低価格の端末の生産を、携帯電話機メーカーに提案するよう求めていた。

 GSMアソシエーションは、インドのBhartiグループ、エジプトのOrascomグループおよびトルコのTurkcellの協力を得て、モトローラが提案した機能を絞った(bare-bones)モデルを選んだ。この新端末の販売価格を40ドルと見込んでいるが、引き続き30ドルのモデルも登場する予定だという。ノキアは新興国市場向けに多くの携帯電話機を販売している。TCLやZTEなどの中国のメーカーも、価格に敏感な購入者向けにアピールする低価格のモデルで強力なビジネスを展開している。しかし、モトローラには新興国市場に参入する考えはなさそうだという。

 移動通信設備メーカーは、新興国市場がより多機能の電話機と移動通信サービスを導入することを望んでいる。フランスのアルカテルは、これらの地域の携帯電話会社に対し、最初に限定的な機能に対応した設備を購入し、顧客が新サービスを求めるようになった段階でより高度な機能を追加することが出来るように設計した設備を提供しているが、そのことがアフリカおよびその他の発展途上地域における移動通信網の販売で、同社がかなりのシェアを獲得出来たことに役立っているという。アルカテルは、数年前にナイジェリアのGlobalcomに移動通信網を6億ドルで納入する契約を締結したが、2005年同社が導入する3Gサービスの設備の追加契約を6.85億ドルで獲得した。

 前回の3GSM世界会議では、移動通信産業は高度無線サービスの潜在力が誇大に宣伝されたことを原因の一つとして起きたバブルとその破裂から抜け出すのに腐心していて、ナイジェリアにおける3Gのビジョンが実現すると考えた人はほとんどいなかった。しかし、無線設備メーカーはこの数年間徹底してコスト削減に努め、顧客が真に欲するサービスを提供するよう自らを改革してきた。我々は直近の過去からの教訓を忘れていない。しかし、2005年の3GSM世界会議では、天秤は希望の方に傾いた、と前掲のBW誌は書いている。

■セビット(CeBIT)2005でのキー・ワードは「融合」

 2005年3月10日から1週間、北ドイツのハノーバで開催された家電を中心とする商品見本市セビット(CeBIT)2005(来訪者約50万人)でも、携帯電話は話題の中心となったようだ。携帯電話機は今や消費者エレクトロニクスの主役である。フィナンシャル・タイムズ(FT)紙によると(注)、人々は外出時には携帯電話を、家にいるときは有線電話を、映画をみる時はケーブル・テレビを利用しているが、これらは現在でも厳格に夫々別の世界に属している。しかし、このバリアーが崩れ、間もなく市場は急速に「融合」していくという。

(注)CeBIT 2005 / Big issues for operators as worlds collide(Financial Times / March 9,2004)

 固定通信会社は侵蝕されつつある収入ベースを安定させるため、他のプロバイダーの事業領域に侵入しようとしている。しかし、携帯電話会社も高い成長が終りに近づきつつあることを意識し、ケーブル・テレビ事業者も新しい収入源を探している。多くのビジネスで成長期は終り、プロバイダーは関連するビジネス・セグメントへの進出を試みている。なかでも危機意識を強めているのは、携帯電話会社との競争に直面している固定通信会社で、「融合」の推進に積極的に取り組んでいるという。

 例えば、BTグループは有線電話に携帯電話機を使えるようにする準備を進めている。自宅にいるときは自動的に固定回線経由で通話ができ、外出時には提携したボーダフォンのネットワークに接続されるというサービスである。BTは最近、この「ブルーフォン・プロジェクト」のテスト結果を「BTは有線電話と移動電話サービス間のシームレスな切り替えに始めて成功した。これは2005年春のサービス開始への大きな一歩である。」と発表し、(前掲FT紙)このサービスを極めて有望と評価している。

 しかし、携帯電話会社やケーブル・テレビ側も反撃を開始している。セビット(CeBIT)2005でも、T−モバイルは、ウェブ・サーフィングのために固定網に接続する無線LAN(Wi−Fi)を利用できる携帯電話端末の準備を進めていると発表した。オレンジは、携帯電話の利用者が、移動電話と有線電話サービスの間を切り替えることが出来るデータ・チップを導入する計画を公表した。オレンジの顧客は、このチップを利用して外出先でも自宅でも、ウェブ・サーフィングに自分達の携帯電話機を使うことが出来るようになる。オレンジのCEOは、携帯電話は通信の道具から娯楽の道具に進歩したと語っている。
ドイツテレコムは、同社のDSLサービスの高速化に取り組んでおり、それによって同社が通信会社として最初のテレビ放送事業者となることを狙っているという。同時に、ケーブル・テレビ会社も事業領域を電話とインターネット接続サービス及び製品にまで拡大しようとしている。

 ボーダフォンはセビット(CeBIT) 2005で、次のような新しいサービスを発表して注目された。第1に、企業ユーザー向けに、現在の有線通信網を代替する(同番移行もできる)効率的なサービス「WirelessOffice」を開始する。第2に、3G携帯電話機でテレビジョン放送を視聴するサービス「Vodafone Mobile TV」(DVB−Hに準拠)を始める。第3に、50万曲が利用可能な音楽ショップ「Vodafone MusicDownload」を開設し、3G携帯電話機で音楽再生を楽しめるようにする。第4に、一般ユーザー向けに、電話、ファックス、インターネットのサーフィングなどすべての通信ニーズを3Gネットワーク経由で提供し、固定通信の契約を不要にすることを狙った「At Home」サービスを開始する。

 携帯電話と有線通信との完全な融合は、今後しばらく時間が必要であるにしても、もはや止められない。このトレンドの中で現在特に目立っているのは、固定網と携帯電話のバンドル・サービスとそれを対象とする料金設定である。しかし、セビット(CeBIT)2005に出品された各種の携帯端末は、少なくとも固定網と携帯電話の特性の結合を可能にする初期の原型であり、今後の商品化のモデルとなるだろう、と前掲のFT紙は書いている。

 このような融合のトレンドは、通信網技術の変化を早めている。なかでも、固定通信会社はIP技術に適合するよう自社のインフラ設備の再構築に着手している。この変化はネットワークの効率性を飛躍的に高める。携帯電話会社も、IPの諸機能を提供できるように、徐々にそのネットワークを変えようとしている。このことが、2つのタイプのネットワーク間を円滑に渡り歩くことが出来る端末を実現する唯一の方法である。前掲のFT紙は、「ネットワークにおけるIP技術が鍵になり、異なるサービスを一つの端末でまとめて提供するという新たな可能性は、新しいビジネス・モデルへの途を拓き、同時に価格に対する新たな圧力のトリガーになるだろう。」と指摘している。

特別研究員 本間 雅雄

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