3.9Gとも呼ばれるLTE(Long Term Evolution)は、3G標準化機関「3GPP」が2009年3月にFDD(周波数分割複信)とTDD(時分割複信)の両方式の標準化を完了し、「3GPP仕様リリース8」として公表した。また、北欧の大手通信事業者テリアソネラが昨年12月にストックホルムとオスロで、またロシア最大手の携帯通信会社モバイル・テレシステムズ(MTS)が今年7月末にウズベキスタンの首都タシケントでそれぞれ商業LTEサービスを開始し、LTE時代の幕が開けた。LTEは、将来の4Gシステム「IMT-Advanced」向けに当初考えていたOFDMA(直交周波数分割多元接続)やMIMO(複数のアンテナによる送受信技術)などの技術を採用しており、データ伝送速度の高速化、セルエッジ(セルとセルとの境界)における性能の向上、レイテンシ(遅延時間)の短縮、スケーラブルな帯域幅、GSM/EDGE/UMTSシステムとの共存、設備投資/運用費用の削減などの優れた特長を有する。本稿では、世界全体のHSPA+とLTEの導入動向と主要な課題を概述する。