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InfoComモバイル通信T&S

2011年6月号(通巻267号)

サービス関連(通信・オペレーション、製品・端末、コンテンツ・放送、その他)

  • ワイヤレスM2Mのネクスト・ステージ 〜 M2Mクラウド(共通プラットフォーム)をマネージド・サービスに取り込む通信機器ベンダー
  • Nokia Oro〜18カラット「黄金のスマートフォン」
  • 東アフリカ市場開拓を加速させるグーグル
  • 東日本大震災による民間ICT関連資本の損害額は最大4.4兆円
  • 国内外の主要携帯事業者のARPUの動向(2011年1月〜3月期)
    〜スマートフォンの浸透とデータARPUの拡大
  • 世界の携帯事業者 売上高トップ20(2010年Q4)
  • 今後のインターネットにおけるマッチングビジネスについて
  • 諸外国の公衆電話事業への取り組み

■ワイヤレスM2Mのネクスト・ステージ 〜 M2Mクラウド(共通プラットフォーム)をマネージド・サービスに取り込む通信機器ベンダー

これまで通信事業者やシステム・ベンダーは、M2M(Machine to Machine)のサービスやシステムを、顧客ごと、あるいは業種に特化した個別ソリューションとして構築し、提供してきた。しかし、ワイヤレス・モジュールの組み込みデバイスが多様化し、出荷数も携帯電話やスマートフォン、ラップトップPCを上回って急増するのに伴い、それらから収集・蓄積される情報が、特定のソリューションのみならず、社会活動のあらゆる領域でも活用される可能性がでてきた。こうした潮流から、様々なデバイスや情報をネットワーク側で一元的に管理し、それをクラウド・サービスとして提供することで、プラットフォームを共通化・オープン化し、個別アプリケーションの分散開発を支援する動きが活発化している。欧米では2000年以降、こうしたM2M共通プラットフォームによってニッチ市場で成功を収めるMVNOが登場してきたが、近年では大手通信事業者が、これらのMVNOと提携強化を図ることで、M2Mソリューションのワンストップ化を狙っている(本誌2009年11月号「米携帯電話事業者、相次ぎマルチデバイス(M2M)戦略を強化」、2010年6月号「欧州携帯電話事業者のワイヤレスM2M戦略」参照)。こうした中、エリクソンやノキア・シーメンスなど、これまで通信事業者にネットワークのマネージド・サービスを提供してきた大手通信機器ベンダーが、通信事業者向けにM2M共通プラットフォームを提供する動きも出てきた。本稿ではエリクソンの取り組みを中心に紹介する。

■Nokia Oro 〜 18カラット「黄金のスマートフォン」

  2011年5月、Nokiaは18カラット・800ユーロの黄金のスマートフォン「Nokia Oro」の販売を開始した。 2011年2月にマイクロソフトとの提携を発表し、今後はWindows Phoneを軸足にスマートフォン開発を進めていくことを決定したNokiaの戦略と今回の「Nokia Oro」の位置付けを考察したい。

■東アフリカ市場開拓を加速させるグーグル

  グーグルは2011年3月、東アフリカ3カ国(ウガンダ、タンザニア、マラウィ)で50件まで無料のGmailを利用した無料SMSサービス「Gmail SMS」を開始した。2007年6月にケニア・オフィスを開設以降、自社のGmailアカウント・ユーザ数の拡大を進め、最近ではモバイル市場開拓を加速させている。本稿ではグーグルの東アフリカ地域での最近の取り組みを紹介する。

■東日本大震災による民間ICT関連資本の損害額は最大4.4兆円

  東日本大震災がICT経済に与えた影響が徐々に明らかとなってきた。今回は、2011年5月末時点で我々が確認できた震災の影響を織り込みながら、1〜3月期のICT経済の状況を取りまとめた。 2011年1〜3月期のICT生産は前年同期比マイナス2.0%と6四半期ぶりに減少した。東日本大震災により、シリコンウェハ等のICT部品生産で世界シェアの大きい事業者の複数の工場が被災し、部品関連工場の操業停止や生産ラインの縮小が川下の生産減少をもたらした格好だ。東日本大震災によるICT産業の設備(通信サービス機器や建築物等)の損害額は2.8兆円、ICT産業以外の民間企業の情報資本設備の損害額は1.6兆円と試算される(表1)が、サプライチェーンを通じたICT産業以外への影響も含めればその被害額はさらに拡大しそうだ。また、ICTサービスも、東日本大震災の影響で企業のソフトウェア受注が滞り、2011年1〜3月期以降の減少トレンドにさらに拍車がかかりそうだ。

■国内外の主要携帯事業者のARPUの動向(2011年1月〜3月期) 〜スマートフォンの浸透とデータARPUの拡大

○概観 世界の携帯通信市場の2011年第1四半期は、スマートフォンブームの中、各社によるスマートフォン普及率の開示が進み、スマートフォン販売とデータARPU拡大の関係が明確になってきた。

■世界の携帯事業者 売上高トップ20(2010年Q4)

  携帯電話関連の国際業界団体GSMアソシエーション(GSMA)傘下の英調査会社ワイヤレス・インテリジェンスは2011年5月26日、2010年Q4における世界の携帯事業者の売上高トップ20を公表した。本稿では、本誌2010年9月号で紹介した2009年Q4実績との比較も交えながら、世界の携帯事業者の最新ランキング状況を多角的に解説する。

■今後のインターネットにおけるマッチングビジネスについて

   マッチングビジネスとは、何か。需要者と供給者側のウォンツとニーズをマッチさせることだ。そもそもビジネスの基本は、需要と供給のマッチングによって成立してきた。1990年代後半にインターネットが登場し、インターネットという「場」を活用したマッチングビジネスが盛んになった。そこでは、人はネット上で物を買う、オークションで手に入れる、ホテル、チケット予約をするといった既存のビジネスをネットという「場」に置き換えた。今までインターネットの世界でマッチングというと、ネットオークションやQAサイト、SNSなどオンラインでのマッチングが主流だった。今後、インターネットを活用したマッチングビジネスはリアルとの連携がキーになるのではないだろうか。アメリカでインターネットでマッチングを行うサービスに着目し、今後のマッチングビジネスと仲介業の在り方について考察したい。

■諸外国の公衆電話事業への取り組み

  私たちの身の周りにも多く設置されていた「公衆電話」は、携帯電話の普及とともにその多くが撤去されてきている。2000年には約70万台あった公衆電話は、2010年には約25万台となり、おおよそ1/3となった。2002年度に創設された「ユニバーサルサービス制度」は、公衆電話サービスのように公共性の高い通信サービスの提供に対して、必要なコストの一部(高コスト地域における提供コスト)を、NTT東西以外の事業者も負担するという仕組みである。この制度は、携帯電話の普及に伴い、公衆電話サービスの利用者や収益が減少した結果、NTT東西の自助努力だけでは、公衆電話サービスを提供して維持することが困難になってきたという背景がある。不採算となりつつある公衆電話事業を無くしてよいのだろうか、といった議論は、日本に限らず各国でも行われている。一方、著しく進化する無線通信技術やインターネット技術、そして通信ビジネスの発展といった外部環境の変化と市場のニーズに対応した、公衆電話事業への取り組みも始められている。
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