■HTCにみる携帯電話メーカーの栄枯盛衰
2012年1月6日、スマートフォン販売では世界第4位の大手携帯電話メーカーHTCが2011年第4四半期の決算を発表した。純利益は前年同期比26%減となる110億台湾ドル(約280億円)。前年同期は148億台湾ドルだった。売上高は前年同期比2.5%減の1,014億台湾ドル。2年ぶりの減収減益となった。スマートフォン販売が苦戦したといわれている。果たしてそうなのだろうか。2011年前半までは増収増益で好調であったHTCがここに来て減収減益になった。HTCはアップルとの訴訟問題も抱えていた。しかし訴訟問題は2011年末時点では減収には直結しない。今回のHTCの減収減益には、携帯電話メーカーのかかえる共通の問題点を見出せるのではないだろうか。HTCをトリガーとして携帯電話メーカーについて考察していく。
■世界携帯端末市場の最新動向〜スマートフォンのコモディティ化と急速なLTE対応
スマートフォン(以下、スマホ)の出現以来、世界の携帯端末市場が激変している。米調査会社ガートナー等のデータによると、世界のスマホ販売台数は2007年の1.2億台から、昨年(2011年)は推計4.6億台に達し、パソコン出荷台数(推計3.6億台)より多くなった。また、スマホ販売台数は今年(2012年)6.3億台に増え、2015年には11億台を超えると予測されている(図1)。本稿は、スマホを中心した世界の携帯端末市場の動向、および大手携帯端末メーカーの経営状況の概要を報告する。 
■中国エリート層をターゲットとした特殊端末
中国では現在、「千元智能(1,000元スマートフォン)」と呼ばれる安価なスマートフォンがモバイル端末市場を席巻しつつある(1,000元=約12,000円)。一方では、中国共産党員などのごく一部のエリート層を対象にしている特異な端末も複数登場し始めている。これらの端末は中国固有の社会構造を反映しており、世界のあらゆる端末の中でもかなり稀有な存在と言える。
■HTML5でモバイルクラウドに取り組むAT&T
AT&Tは2012年1月、同社が開催した2012 AT&T Developer Summitにて、HTML5アプリケーション開発を支援するAPIプラットフォームの提供を発表した。さらに、企業ユーザ向けに業務用アプリケーション開発を支援するCloud Architectも発表した。本稿では、2009年以降のAT&Tのクラウドサービスへの取り組みを踏まえつつ、AT&Tのクラウド戦略を考える。
■世界最大級の家電見本市「CES 2012」開催
2012年1月10日から13日にかけ、米国ネバダ州ラスベガスにおいて世界最大級の家電見本市「International CES」が開催された。本見本市は、最新の家電製品が発表されることもあり、世界的にも毎年注目を集めている。筆者は、2010年にCESに参加したことがあり、今年のCESは2年ぶりの参加となる。家電の見本市ということもあり、発表されている機器は、テレビ、カメラ、スマートフォンさらには白物家電まで多岐にわたる。本稿では、CESで最も注目されたテレビおよびスマートフォンを取り上げ、2年ぶりとなるCESで受けた印象を報告したい。
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