■LTEエコシステムの現状と将来展望
世界初の商業LTEサービスは、北欧で2009年12月に開始以来、3年がすぎた。世界の通信機器メーカー等の業界団体GSA(Global mobile Suppliers Association)が発表した最新の報告によれば、2012年末現在、世界66カ国で携帯通信事業者144社が商業LTEサービスを提供している。また、米調査会社アイサプライ(IHS iSuppli)の報告によれば、LTE加入数は2012年末に推計7,330万加入に達し、2016年末には11.7億加入に増加すると予測している。このようなLTEの急成長に伴い、2013年のLTEインフラ投資額がW−CDMA/HSPA関連のインフラ投資額を初めて上回る見込みだ。さらに、LTE対応携帯端末の機種数や出荷台数の急増、ビデオやオンライン・ゲーム等の高速性・低遅延性を要するアプリケーション(以下、アプリ)の増加など、LTEエコシステムの構築が急速に進んでいる。本稿では、これらLTEエコシステムの現状と将来展望について考察する。
■ワイヤレス充電のもう一つの形〜アップルの特許出願から
以前の本誌で、筆者は「Qi(チー)」というワイヤレス充電システムを紹介した(本誌2012年11月号、「ワイヤレス充電の本命となるか?「Qi(チー)」」)。この「Qi」の対抗馬となりそうなワイヤレス充電システムの特許がアップルから出願されていたことが明らかになった。実際の製品はまだ世に出ていないが、この発明にはアップルが目指すユーザー・エクスペリエンスを実現するための優れたアイデアが含まれていると筆者は考える。本稿ではアップルの特許出願(以下、アップル発明)の内容を紹介し、同社の狙いを考察したい。
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