2013年3月25日掲載

2013年2月号(通巻287号)

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コラム〜ICT雑感〜

今年も始まるJリーグ〜選手の成長を助けるICT活用の広がり

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今年の冬は、東京でも7年振りの大雪が降るなど例年に比べて寒い日が多かった。これから徐々に春の足音が聞こえてくる時期となるが、日本のプロサッカーリーグであるJリーグは3月を迎えるとすぐに今シーズンの開幕となる。昨シーズンの最終戦が12月初旬だったので、シーズンオフは3カ月しかなかったわけだが、某チームを毎年応援し続けている私にとっては、なんとも待ち遠しかったシーズンの始まりである。今年もスタジアムに足を運び、サポーターの熱い声援の中で展開される選手の華麗なプレーを楽しみたいと思う。また今年は、Jリーグの開幕に続いて、下旬には2014年ワールドカップのアジア最終予選ヨルダン戦が行われる。勝てば5大会連続の本大会出場が決まる注目の一戦であり、是非とも一気に本大会の出場を決めてもらい、その勢いと盛り上がりをJリーグにつなげてほしいものである。

このように本格的な春の訪れの前から熱い戦いが繰り広げられる日本のサッカー界だが、戦いに向けた様々な場面でICTが活用されており、発達したセンサー技術を活用した詳細なデータの収集や、ビッグデータの取り扱いも広がっている。そして、こうしたICTの活用は、試合における戦術の選択はもちろんのこと、ケガの予兆の検知や、効果的なトレーニング方法の確立などにも活かしていこうとされている。

例えば、練習試合において、超小型のICチップやICタグなど高度なセンサー技術を用いて、フィールド内を駆け回る選手の走行距離・加速力などの身体の動きや体温・心拍数といった体調の変化を収集し、ケガが発生した際の状況や技術・体力の向上度合いと掛け合わせて分析することにより、ケガを防止するために気を付けるべきプレーや行っておくべきトレーニング、技術・体力の向上に有効なトレーニングなどについて、従来では気付くことができなかった新たな解を導き出したり、有効性の高いものを絞り込んだりできるようになってきている。

また、プロ野球に比べると営業収入が少ないJリーグでは、他チームの優秀な選手を獲得するには高額の移籍金が必要となることもあって、ユースチームなど下部組織に所属する若手選手の育成をクラブ経営上の重要課題の一つとして取り組んでいる。あるチームでは、ユースチームの選手に、入浴時以外はずっと腕時計型のセンサーを装着させ、試合や練習だけでなく日常生活における選手の動きや皮膚の温度などのデータも収集し、詳細に分析して若手選手の効果的な育成に役立てている。その一例であるが、データの収集・分析によって、練習の効果が芳しくなく伸び悩みが心配されていた選手が、片道2時間もかけて練習に通っていたため睡眠時間が短いなど生活のリズムが良くないことが判明し、チームはこれが練習の効果に影響を与えている可能性があると考え、練習場の近くに寮を設けるなどの対策を講じたという。

このほか、スマートフォンを使って睡眠を管理する技術も注目されている。最近のスマートフォンは、内蔵されたセンサーによって、睡眠中の脈拍や呼吸、寝返りや胸の動きのほか、寝息やいびきまで検知できるようになっている。更に、睡眠中の身体の動きや寝息などから睡眠の深さを判別し、快適な目覚めにつながると言われている眠りが浅い時を見計らって目覚ましアラームを鳴らしたり、いびき音を感知したらバイブレーション機能を作動させて寝返りを促し、いびきを止めるということも可能になっている。しっかり睡眠をとってコンディションを整えることは、試合や練習での集中力とやる気を高め、優れたパフォーマンスの発揮につながると言われており、今後は、スポーツ選手の健康管理において、こうしたスマートフォンの活用が増えていくのではないだろうか。

さて、私が応援しているJリーグの某チームであるが、今シーズンはどんな活躍を見せてくれるだろうか。これまでのシーズンは後半戦になるといわゆる残留争いに巻き込まれ、残留争いが注目を集める残り数試合になると、驚異的な「残留力」を発揮して勝点を積み上げて、サポーターをハラハラさせながらもしっかり残留を決める、というプロセスを辿ることが度々あった。今シーズンこそは「残留力」を「スタートダッシュ」に変えてもらい、できれば終盤戦は優勝やACLの出場権をかけた試合が続くようなシーズンとなることを期待したい。と言いながら一方では、残留がかかった終盤戦をチームとサポーターが一体となって必死に戦い、残留を決めてみんなで喜びを分かち合うという体験を何シーズンか重ねると、これもまたこのチームのサポーター冥利の一つのような気もしてしまう。

このように、シーズン開幕前のこの時期は、今年はどんな結果となるのか、期待と不安が入り交じりながらアレコレいろいろなことを考えてしまうが、いずれにしてもシーズンが開幕したら、例年同様、試合の度にその結果に一喜一憂することになるのは間違いなく、チームがどんな順位にいようとも12月の最終戦までしっかり応援し、シーズンを目一杯楽しみたいと思う。

企画総務グループ/情報サービスビジネスグループ部長 山内 功

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