■世界の携帯通信ネットワーク機器市場の動向
世界の携帯通信市場では、データ・トラフィックの急増に伴い、設備投資先が2G/3Gから4G/LTEへ急速に移行している。市場調査会社等の報告によれば、2013年5月初めに世界のLTE回線数(加入数)が1億を突破した。また、LTE加入数が2016年ないし2018年には10億を突破する見込みだ(図1)。一方、世界最大の携帯通信市場である中国では、通信事業者へTD−LTEライセンスを優先的に発行し、中国移動(China Mobile)等がネットワーク機器調達入札を今年末に行う見込みだ。これに伴い、中国で出遅れていたTD−LTEネットワークの建設に拍車がかかることが予想される。また、その他の新興諸国や開発途上国でも、TD−LTEネットワークの建設が加速する見込みだ。
■Samsungが開発した“5G”技術
世界各国で“4G”としてLTEサービスの導入が進む中、Samsung Electronics(以下、Samsung)は早くも“5G”に目を向け始めた。同社が“5G”技術を開発したとする発表は物議を醸しているが、周囲の多くがその発表に反応を示すこと自体が「LTEの次」に対する関心の高まりを証明しているとも言える。通信技術の開発サイクルが長期に及ぶことは常であるため、“5G”を俎上に載せるのは必ずしも時期尚早とは言えない。本稿ではSamsungを中心として、“5G”を巡る現時点の動きを報告する。