■Qualcommが提唱する「非免許周波数帯域におけるLTE-Advanced」
LTEネットワーク展開は世界各地で急速なペースで進められており、最近では中国移動が満を持してTD−LTEサービスの提供を開始した。また、韓国などではLTEの後継規格であるLTE-Advanced(以下、LTE−A)の商用化も始まっている。当然、これらは全て通信事業者が一定の周波数帯域を免許という形で利用することで実現されている。しかし、一方で非免許周波数帯域を利用してLTE−Aを実装するというコンセプトも浮上してきた。本稿では、それがもたらす影響について考察する。
■5G以降の変調方式でブレイクスルーを狙うWAM方式
現在のディジタル通信では、送信すべきビット列をディジタル変調して、実際に光や電波に乗せる前の信号(シンボル)を生成する。このディジタル変調は方式が年々進歩しており、1つのシンボルに載せることができるビット数を増やすことで伝送速度は高速化されてきた。しかしながら、モバイル通信では雑音やフェージングによって送信信号に擾乱が起きるため、1シンボル当たりのビット数はいくらでも増やせるわけではない。送信電力を上げてSN比を高くすれば雑音の影響は減らせるが、スモールセル化や省エネの流れの中、送信電力を上げて伝送速度を稼ぐのは時代に逆行した考えだ。