ホーム > Global Perspective >
Global Perspective
2011年1月19日掲載

サンクトペテルブルグのメトロでモバイルNFC導入

グローバル研究グループ 佐藤 仁
[tweet]

 2011年1月6日、米国Ambiq Technology社は、サンクトペテルブルグ交通当局(St. Petersburg Transportation Authority)とNFCモバイルペイメントでの提携を発表した。
サンクトペテルブルグの地下鉄で2010年10月からトライアルを実施している。
同社が開発したシステムを利用してサンクトペテルブルグの公共交通機関でユーザは既存の携帯電話を用いてNFCでのチケット購入を可能にする予定。

 今回は同社のSecure-Z™ というNFCソリューションを利用している。ユーザは標準携帯電話機に同社が開発したNFCシステムをインストールすることによってメトロの改札を通過することができる。(NFC対応した携帯電話でなくてよい) これによって、ユーザの利便性、安全性、公共交通機関の効率性向上を図ることができる。

 サンクトペテルブルグ交通当局の副会長S.V. Popov氏は、「このシステムを導入すればチケット購入と公共交通機関利用時の簡易性に繋がるから、サンクトペテルベルグにとって有益なものになるだろう」とコメントしている。

 将来的には、公共交通機関だけでなく、レストランでの支払い、タクシー、ショッピングでの利用にも拡大をしていきたいとのこと。
サンクトペテルブルグはロシア第2の都市で、毎日約400万人以上が公共交通機関を利用している。(東京メトロは2008年12月時点で、1日約622万人が利用)
現在はジェトンというコインで乗車するか、ICカードでの乗車が可能だが、今後はモバイルNFCによる更なる効率化が期待される。

 サンクトペテルブルクの地下鉄は、ソビエト連邦時代に設計・装飾されており、芸術性の高い魅力的で優雅な地下鉄駅である。サンクトペテルブルクの地質的な理由により、サンクトペテルブルク地下鉄は世界で最も深いところを走っている。
但し、電車は駅のように芸術的ではない一般的な電車だ。(下記動画参照)
サンクトペテルブルグには、トラム、トローリーバス、バスも走っている。

 今回のNFCは、各社の役割が明確でシンプルである。役割が明確でシンプルな方がビジネスモデルもはっきりしていて良い。

  • Ambiq社:NFCシステム開発、構築、導入
  • サンクトペテルブルグ交通機関:NFCの導入による効率性の向上
  • ユーザ:既存の携帯電話をNFC対応端末として利用できる利便性の向上

 1日約400万人以上も利用するサンクトペテルブルグ地下鉄であれば、スピードが要求されるNFCは受け入れられやすいだろうし、既存の携帯電話でも利用可能であるので、ユーザの利便性も向上するであろう。通信キャリアによる縛りもない。

 具体的な商用導入時期については明確にしていないが、芸術性の高いサンクトペテルブルグ地下鉄駅と最新のモバイルNFC技術の融合による利便性と効率性の向上に期待したい。
また、レストランやショップでの支払い等、公共交通機関以外への発展も同時に期待したい。

参考サイト:http://www.ambiqtech.com/en/index.php

【参考動画:サンクトペテルブルグの地下鉄】

▲このページのトップへ
InfoComニューズレター
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。
InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。