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2011年2月1日掲載

エジプト情勢:音声投稿Twitterによるネットなしでの情報発信

グローバル研究グループ 佐藤 仁
[tweet]

 2011年1月にチュニジアで長期独裁政権を崩壊させた「ジャスミン革命」の影響で、エジプトでムバラク政権への反政府デモが2011年1月25日から続いており、インターネットおよび携帯電話からのネット接続がほぼ全面的に遮断されている。日本人観光客が帰国できない等、ここ数日エジプトでは政権打倒を掲げて市民のデモが続いているのは周知の事実だろう。
デモ参加者がTwitterやFacebookで連絡を取り合ったり、情報発信をしていることから、2011年1月27日には当局はこれらサービスへのアクセスを遮断した。

 米Arbor Networksの発表によると、2011年1月28日に世界の80のプロバイダーとエジプト間のトラフィックが急減した。27日まではデモの活発化によりトラフィックが拡大していた。サイト内の図を参照頂きたい。急減しているのが見てとれる。

 また米Renesysの発表によると、エジプトのプロバイダーが27日夜に、海外と通信するためのルーティング情報の提供を停止しアクセスを遮断したのがわかる。

 そのような中で、米Googleは2011年1月31日、音声回線を使ってTwitterに投稿できる「speak2tweet」の立ち上げを発表した。ネット接続が遮断されているエジプトでも音声通話は可能である。その携帯電話を用いてTwitterに投稿できるサービスだ。

 「speak2tweet」では、所定の電話番号(+16504194196、+390662207294、+97316199855)に電話をかけてボイスメールを送ることで、#egyptのハッシュタグ付きでメッセージを投稿できる。投稿されたメッセージは、上記の電話番号に電話をかけるか、「speak2tweet」で聞くことができる。

 世界中の人もインターネットでアクセスしてエジプト人の生の声を聞くことができる。試しに「speak2tweet」にアクセスして頂きたい。概要がすぐにわかる。下記にも参考に音声を掲載した。

 Googleは、2011年1月25日に音声メッセージングサービス提供会社の「SayNow」を買収したばかりだ。
今回のサービスはGoogle、Twitter、SayNowの協力で開発が実現された。
インターネットへのアクセスは遮断されていても、音声を通じて世界への情報発信を可能にしている。情報を受信する側はインターネットでの受信が可能だ。

 現在の世界において、もはや情報化の波は止めることはできないのだろう。またこのような世界情勢に応じていち早く対応したGoogle、Twitter、SayNowのスピード感に改めて驚愕した。インターネットと音声の融合された情報発信によって世界は大きく変わろうとしている。

 最後にエジプトの携帯電話事情について簡単に明記する。
携帯電話加入者約6,380万人。加入率83%。エジプトには以下の社がある。(2010年9月現在)

1.Egyptian Company for Mobile Services (MobiNil)
 ・シェア約44.5%
 ・Orange、Orascom系資本の会社

2.Vodafone Egypt
 ・シェア約44.2%
 ・Vodafoneグループ

3.Etisalat Misr (Nile Telecom)
 ・シェア約11.3%
 ・エジプトポスト、エジプト銀行系資本の会社

 2011年2月1日現在、上記各社のサイトへはアクセスできない。エジプトでは携帯電話普及率が約83%と高い。これらの携帯電話には音声通信はほぼ全端末で対応している。今後も多くのエジプト人から現地の生の声が「speak2tweet」に投稿されるのではないだろうか。エジプトの情勢が早期に安定し、再びインターネットにアクセスし情報の受発信できるようになることを祈願する。

参考サイト:http://twitter.com/speak2tweet

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