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2011年2月21日掲載

アフリカ初の商用LTEサービス:ナイジェリア

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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 2011年1月11日、ナイジェリア2位の通信事業者Globacom傘下の「Glo Mobile」が、商用LTEサービス開始を発表した。日本でNTTドコモがLTE商用開始をしたのが2010年12月24日だから、それから1カ月も経たないうちの商用開始である。

 しかし、日本や欧米でのLTEとは提供形態が異なる。日本や欧米ではエンドユーザがLTE対応端末やモデムとして利用するが、Globacomの場合、まずは最大都市ラゴス周辺での法人ユーザ向けのバックホールとしてLTEの商用開始である。

 2010年9月に、モバイルバックホールベンダーとして有名なアメリカCeragon Networks社が構築・運用を実施すると発表している。
同社のFibeAir IP-10を用いる。(モバイルバックホールについてはこちらかCeragon社サイト内を参照)

 2011年1月のGSAのレポートによると、70ヶ国180の通信事業者がLTE導入を検討または商用開始済みである。
アフリカでは、エジプトのVodafone、ケニアのSafaricom、南アフリカのMTNがトライアルを実施している。バックホールとはいえ、ナイジェリアのGlobacomがアフリカでは他通信事業者に先駆けての初のLTE導入となった。

 GlobacomのCOO、Mohamed Jameel氏は「近い将来、エンドユーザに対してLTE対応携帯電話端末、モデムを提供していきたい」とコメントしている。

ナイジェリアについて簡単にみてみよう。

首都:アブジャ
人口:約1億5470万人(世界8位)
GDP:3,154億ドル(一人当たり約2,133ドル)
公用語:英語(多数の現地語あり)
宗教:イスラム教、キリスト教

 ナイジェリアはアフリカで一番、人口が多い国で、アフリカの総人口の約5分の1程度がナイジェリア人と言われている。それだけに首都ラゴスは人で溢れかえっている。世界有数の産油国で国内市場は大きいが、国民の大多数が貧困に苦しんでいるため、購買力は低く治安もよくない。日本人はサッカーで馴染みがあるのではないだろうか。

 ナイジェリアの携帯電話市場について簡単にみてみる。

携帯電話加入者数:約8,390万人。普及率約55%。
年成長率は21.6% と非常に高い。若者の加入が非常に多い。
端末のほとんどはローエンド端末またはウルトラローエンド端末(ULCH)である。
以下のように多数の通信事業者が存在する。(2010年9月)6位以下の通信事業者のシェアは1.5%程度で150-200万加入の会社も数社ある。とはいえ、人口は世界8位で約1.5億人いる。まだまだ成長の余地が高い市場であるといえる。

 1960年にイギリスから独立したため、イギリスにはナイジェリアからの移民も多いため、ナイジェリアの通信事業者の多くは英国からのモバイル送金サービス「Topup Nigeria」を提供している。Glo Mobileも「UK topupサービス」を実施している。(下記動画参照)

1.MTN Nigeria

  • シェア:約43.9%
  • 南アフリカのMTNグループ

2.Globacom

  • シェア:約22.6%
  • トータル通信事業者

3.Airtel Nigeria

  • シェア:約18.1%
  • インドのAirtelグループ
  • 旧Zain/Celtel

4.Etisalat Nigeria

  • シェア:約6%
  • UAEのEtisalatグループ

5.Visafone Communications

  • シェア:約3.5%

6.Multilinks

7.Starcomms

8.Reliance Telecom (Reltel)

9.M-Tel (Nigerian Mobile Telecommunications)

 まだナイジェリアは発展途上国であるが、人口の多さと天然資源の豊富さから、今後の成長の余地は大きく残された市場である。
 提供形態は日本や欧米諸国とは異なるが、ついにアフリカにもLTEの波が来たのだ。そして今回のようなバックホールとしてのLTEの活用は発展途上国では受け入れられやすいのではないだろうか。現在ではまだ通話とSMSが主流のアフリカ市場においてエンドユーザがLTEでのモバイルデータ通信を利用するまでは時間は相当にかかるかもしれない。しかしアフリカ市場初のLTEと今後のナイジェリアの携帯電話市場の発展とそれに伴う市民の生活向上、経済発展に期待したい。

【参考動画:ナイジェリアの携帯電話、インターネットの発展を伝えるニュース。】

【参考動画:Glo Mobileのテレビ広告(LTEとは関係ない。同社ではSMSサービスに注力していることからアフリカ市場ではまだSMSがVASの主流であることが伺える)】

【参考動画:UK topupサービスの広告】

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