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2011年3月3日掲載

大学入試 合格発表の遷移

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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 京都大学や早稲田大学などの入学試験において、試験中に「ヤフー知恵袋」に、解答を求める書き込みが行われたニュースは周知の通りだ。弊社清水のレポートでも「ケータイでタッチタイピング」という内容で取り上げている。

 昨今の大学入試の合格発表事情をICTクロニクルな観点からみてみたい。
私が大学受験生だった頃の大学合格発表は、大学の掲示板に合格者一覧が貼り出された。また合格者一覧が郵便でも自宅に送付されてきたものだ。ドキドキしながら郵便を開封したものだ。1990年代半ばまではそのような合格発表が当たり前だった。

 その後1990年代半ばから、電話をかけて「受験番号」と「パスワード」を入力して合否が確認できるようになった。
いわゆるCTI(Computer Telephony Integration)を利用したサービスの先駆けであった。大学の合否データを電話のプッシュ入力によって受験番号とパスワードの一致により、合否を音声が伝えてくれるものである。
電話で「おめでとうございます」か「残念ながら・・」と告げられるのである。
受験生が多い大学では相当な電話回線の準備が必要だったことだろうし、輻輳を回避するために受験番号ごとでの発表時間をずらしている大学もあった。

 そして、2000年代にはいり、現在では多くの大学がインターネットで合否が確認できるようになった。ケータイからも確認できる大学もある。受験生はパソコンの前で、自分の「受験番号」と「パスワード」を入力して合否が確認するのだ。
画面上に「おめでとうございます」か「残念ながら・・」が表示されるのだ。音声すらない。
大学側は、「本システムでの ”誤操作”・”見間違い” 等を理由とした入学手続の遅れは認められません。」と注意書きを明記している。
大学側にとってはネットの不正なアクセスをされないためのセキュリティ対策が最優先事項だろう。もちろん受験生がいっせいにアクセスしても耐えうるだけの回線、システムの対応も必要であろう。

 かつてのように、大学のキャンパスで掲示板に合格者一覧が貼り出されて、それを見て、合格に歓喜し、不合格に落胆する時代ではなくなったのだろう。
しかしどの時代でも受験生にとってはドキドキ感はあるはずだ。
電話で合格を告げられて喜び、何回もかけなおしたり、ネットで合格を確認してパソコンやケータイを前にしてガッツポーズをとったり、落胆しているのだろう。

 物心ついた時からインターネットが日常生活の中にあった昨今の受験生や関係者の方には常識かもしれないが、私のように大学受験から遠く離れてしまったものにとってはネットやケータイでの合否確認をするというのは非常に新鮮さを感じる。

 掲示板での確認、郵便での送付から、電話での確認、そしてインターネットでの確認と時代とともに合格発表のあり方も変わってきている。

 現在でもネットと並行して、キャンパスでの掲示板での発表もしているし、多くの大学では郵便で合格者一覧を送付している。また合格者には入学手続き書類を郵便で送付するので、合格者はそれらが来たら合格であると確認できる。

 今後もますますICT技術が発展していく中で大学受験の合格発表のあり方も変わってくるのだろう。次はどのような方法で受験生は合否を確認する時代になるのか楽しみである。

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