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Global Perspective 2011
2011年8月5日掲載

アンゴラ携帯電話事情:いつの日かアンゴラで「ワンセグ」ケータイを

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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 今回は、日本人には馴染みが少ないかもしれないアンゴラというアフリカの国についてみてみた。

 少し古い話になるのだが、2011年2月21日、総務省は「アンゴラにおける地上デジタルテレビ放送方式の規格として日本方式(ISDB−T方式)の採用に向けた取組を推進していくことで合意、情報通信技術分野における協力に関する覚書に署名」を発表した。

 今後の取組として総務省は、外務省及び関係省庁、放送事業者、メーカ、研究機関等と連携しつつ、アンゴラにおけるISDB-T方式の採用に向けて、専門家を派遣してのセミナー開催、試験放送の実施支援等を行っていくことと、 今後もアフリカ諸国等におけるISDB-T方式の更なる普及に努めていくと表明した。

 ISDB-T方式は中南米を中心に採用されており、2010年12月時点での世界の地上デジタルテレビ方式についてはこちらを参照。本稿においては技術的な解説は省略する。

 ISDB-T方式と言われてもピンと来ないかもしれないが、その技術の一部を活用している「ワンセグ」と言えばお馴染みであろう。最近ではスマートフォンでも「ワンセグ」対応している端末も多くなってきている。東日本大震災時には帰宅難民になり携帯電話の「ワンセグ」でテレビを見ていた人も多い。

アンゴラと携帯電話事情についてみてみたい。

【アンゴラの概略】
首都:ルアンダ
人口:約1,850万人
公用語:ポルトガル語
1975年独立。2002年まで内戦。
主産業:石油、ダイヤモンド
GDP:約833億ドル(一人当たり約6,330ドル)世界銀行調べ

アンゴラの携帯電話事情について簡単に明記する。
携帯電話加入者約1,000万人。加入率52.5%。アンゴラには以下の2社がある。(2011年3月現在)

1.Unitel

  • シェア:63.5%
  • 2001年よりアンゴラで初めてGSM網を構築。
  • W-CDMA導入
  • 2011年1月、3つの地方へのエリア拡大を発表。これで全国128の都市をカバーすることになった。
  • ポルトガルテレコムのグループ会社Africatel、アンゴラ国営石油会社Sonangolの子会社MSTelcom等が株主。

2.Movicel

  • シェア:36.5%
  • 2003年設立
  • CDMA2000導入
  • 2009年7月の民営化まで、100%国営企業だった。
  • 2008年より、中国ZTEがネットワーク構築、保守運用を実施。

 アンゴラは中国と外交面での結び付きが非常に強い。中国にとってアンゴラは主要原油輸入国の1つである。中国はアンゴラから石油を輸入する一方、多くの建設プロジェクトを請け負っている。アンゴラには約20万人の中国人がいるらしい。2010年11月には中国の習近平副主席がアンゴラを訪問するなど積極外交を展開している。
 一方、アンゴラの在留邦人は外務省によると2010年10月時点で、48人とのことである。

 アンゴラ政府との覚書でISDB-T方式の採用に向けた取組を推進していく際に、携帯電話の「ワンセグ」という日本が世界に誇る技術の展開にも注目したい。
アンゴラやアフリカへの進出には地理的な問題、ビジネスとして「ワンセグ対応のハイエンド端末」が売れるのか、さらにはコンテンツの問題等、まだまだ越えなくてはならないハードルや問題はたくさんあり一筋縄にはいかないことは理解できる。また規格がISDB-T方式であっても日本企業しか開発できないということはない。世界中のメーカが開発できる。しかしISDB-T方式が採用されるのであれば日本の携帯電話メーカの技術と経験も多いに活用され、日本の携帯電話メーカの製品がアンゴラ市場でも販売されることを期待したい。

 アンゴラに関するニュースを見る限り、一般の人々が「ワンセグ」ケータイを持つのはまだ先かもしれない。しかし将来、日本を代表する「ワンセグ」ケータイの世界への進出に期待したい。アンゴラとの情報通信技術分野での協力関係を皮切りにアフリカや南米諸国での日本のプレゼンス向上と各国の経済発展に期待したい。日本の果たせる役割はたくさんあると信じている。

【参考動画:Unitelのテレビ広告】

【参考動画:Movicelのテレビ広告】

【参考動画:アンゴラ経済について伝えるニュース(2010年)】

本情報は2011年8月3日時点のものである。

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