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Global Perspective 2011
2011年8月16日掲載

「海外での緊急事態発生時にSMSによる情報配信サービス」:イギリス・ロシア外務省の取組み

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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 2011年8月11日、イギリス外務英連邦省(Foreign and Commonwealth Office:以下FCO)はイギリス通信事業者Vodafoneらと提携して、在外イギリス人向けに緊急時のテキストメッセージ配信サービスのトライアルを実施すると発表した。

 海外で災害や暴動があった際にテキストメッセージを配信して危険を通知するというサービスである。12ヶ月間のトライアルを予定しており、Vodafoneらのユーザらが海外で緊急事態に遭遇した場合に無料で情報が通知される。今回のトライアルに参加するイギリスの通信事業者は、Vodafone UKAsda MobileLebara MobileTalkmobileTalk TalkBT MobileGamma TelecomCognatelらである。

 Jeremy Browne大臣は、以下のように述べており、日本の東日本大震災も本サービス導入へのきっかけとなったようだ。

“The recent consular crises in Libya and Japan have demonstrated the need to deliver live travel safety messages to as many people as quickly as possible. This new service is part of our vision to deliver better consular services more cost-effectively and we’re delighted to be working with Vodafone UK and a number of partners on the pilot. We hope in the future we will be able to roll out this service with other mobile network operators and mobile providers.”

 確かに海外にいると、自然災害や暴動など突発的に不測の事態が発生した場合、非常に不安である。このようなアラートサービスが母国から送信されてきて、どのような行動をとれば良いか、などのアドバイスがあれば安心することはできるだろう。

 FCOでは、FacebookTwitterを活用しての海外での安全情報の配信も行っている。

 また2011年8月1日には、ロシア外務省が同様に、海外にいるロシア通信事業者MTSユーザに対して緊急事態発生時にはテキストアラート(SMS)を送付することをTwitterで発表した。ユーザは同サービスを無料で受けられ、緊急事態が発生した国の大使館や領事館などの連絡先が通知される。

 実際には海外で緊急事態が発生しないことが望ましいのであろうが、実際に遭遇してしまった場合、国家から携帯電話のSMSに情報配信サービスが配信されてくることは国民を安心させることだろう。また現地にいる自国民の安否確認もスムーズに行うことができるようになるだろう。

 国家が緊急事態発生時に国民への情報発信と安否確認に携帯電話のSMSが活用されるようになってきている。SMSであればほとんどの携帯電話機が対応している。国家として自国民の安全確保において携帯電話の果たす役割がますます大きくなってきていることだろう。
 今後、このようなサービスを各国が主導して、ユーザがどこの通信事業者であれ、海外での緊急事態発生時の情報配信サービスの提供をしていくことを期待したい。

 海外での緊急事態時だけでなく、自国での自然災害や暴動など不測の事態が発生した際にも活用していくことは可能であろう。
 日本のエリアメールの事例も参考になるのではないだろうか。

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