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Global Perspective 2011
2011年9月14日掲載

フィジー:モバイル送金「M-PAiSA」で交通違反の罰金支払いも可能に

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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 2011年8月17日、フィジーの通信事業者Vodafone Fijiが交通違反や犯罪の罰金をモバイル送金「M-PAiSA」で支払いができるようになったことを発表した。モバイル送金「M-PAiSA」は、2010年5月にトライアルが実施され、2010年6月に商用開始されたたばかりである。そしてその利便性の高さから、フィジーではあっというまに市民の生活インフラの一部となり、2011年1月までの約半年で、50,000通のM-PAiSAによるモバイル送金が行われ、送金された金額は250万ドル以上であると報じられている。フィジーでは、M-PAiSAで、電気代や水道代の支払いもできる。まさにモバイル送金が生活にかかせなくなってきている。

 今回の交通違反や犯罪の罰金の支払いも、わざわざ裁判所や警察署まで行く手間が省けるということでの導入である。

フィジーの携帯電話加入者は約70万人。普及率は78.2%。
Vodafone Fijiのシェアは87%で圧倒的な1位である。

 アフリカをはじめとする新興国ではモバイル送金は生活の一部となっている。携帯電話を用いて銀行口座を持たなくても、お金の送金・受け取りが可能なサービスである。
今後も、家族、友人の個人間の送金だけでなく、公共料金や交通違反の罰金支払いなどでも多くの国々で活用されてくるのではないだろうか。

 一方で、モバイル送金に対する「振り込め詐欺」のような事件にならないような対策も通信事業者や国家が主導して講じる必要も出てくることになるだろう。さらにフィジーのような人口85万人の小国だから運用もスムーズだろうが、システムや本人の確認など日常のオペレーションの運用も考慮する必要があるだろう。

 なお、Vodafoneグループがケニア、タンザニア、南アフリカ、アフガニスタン、フィジーなどで提供するモバイル送金サービス「M-Pesa」は、2011年2月のMobile World Congressの「Best Mobile Money for the Unbanked Service部門」でGlobal Awardを受賞している。

 今後もまだまだ新興国では、生活インフラの一部としてモバイル送金が活用されていくことだろう。あらゆるシーンでの利用方法に注目していきたい。それによって新興国の経済発展に繋がることにも期待したい。
さらに、公共料金や交通違反の罰金支払いとしてのモバイル送金は、新興国だけでなく多くの国々で活用されていくのではないだろうか。

 

【参考動画:Vodafone FijiのM-PAiSAのテレビ広告(2010年)】

(タクシーでお釣りがなくて、M-PAiSAを活用して支払いをしている広告)

*本情報は2011年9月5日現在のものである。

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