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2008年10月掲載 |
ネットとリアルの交差点東野圭吾の小説、「容疑者xの献身」の舞台は、新大橋から清洲橋にかけての一帯だ。しかも、石神先生の通勤コースは、自分の散歩コースでもあって、小説にでてくるように空き缶を積んだ青テントの人を河岸で見かけたりする。多分、高校は中村高校で、ファミレスは今はサイゼリヤになっている。ちょっと前までCASAだったらしい。 新大橋通りと清洲橋通りの交差点にあるサイゼリヤは、結構興味深い客層で楽しい。日曜の夜にお茶しに行くと、かなりヤバい(いい意味で)人たちがリラックマしている。 この前の日曜に行くと、とある30代証券マンらしき男性(大阪弁)が、女性を口説いていた。6,000万で買ったマンションを人形町に残し、明日から大阪に転勤になってしまうのが、無念らしい。そして、話が尽きるたびに、「赤ワイン、ピッチャーで」とウェイトレスを呼ぶ。お金があるのを自慢しているのだが、なぜサイゼなのか?そして、男性が席を立つたびに、即ケータイをチェックする女性。なんで逃げないのか。 目を横に向けると、50代らしき男性(ウェット着用)が一人でコーヒーを飲んでいる。この人は、電話魔だ。「今日、負けちゃいました」という報告をやたらしている。何に負けたのか?オジサンにも電話魔がいるんですね。 清洲橋と新大橋は、隅田川が曲がっているので、位置的に直角に掛かっている。どちらの橋も、こちら側(人形町側)とあちら側ではだいぶ雰囲気が違う。2つの橋のそばにある交差点のサイゼリヤは、2つの文化が混じる交差点なような気がする。そして、混じる地点で、新たな音楽や文化が生み落とされる。 インターネットがさらに拡大していくためには、橋を越えて、ネットで繋がってない世界に飛び出さなければならない。そのために、インターネットは話し言葉や手書きの文字を認識する必要がある。 今までは、人間がパソコンに合わせる必要があった。グーグルは、キーボードで入力された情報だけを認識すればよかった。しかし、それだけでは取り残されてしまう人々、利用場面もでてくる。 今までインターネットは特別扱いをされてきた。「インターネット上は独自な文化があって・・・」とか、独特な気遣いを身につけないとその世界の住人になれないような雰囲気だ。デジタルが苦手な人も、「インターネットはちょっと苦手で・・・」といって、なるべく触れないでも生活に困ることはなかった。 でも、そんな人でも毎日、文字を書いたり、本を読んだり、電話をしたりはしているだろう。こうした人たちも商売の対象にするには、パソコンが人間に合わせる必要がある。 そこで、グーグル、ヤフーなどの大手インターネット企業は、自然言語(Natural Language)、話言葉の認識技術の研究を進めている。また、テキストを話言葉にする技術(Text-to-Speech)や、その逆(Speech-to-Text)技術をもったベンチャー企業が熱い。 ヨドバシカメラに行くと、ペンで入力するパソコンソフトが置いてある。使ってみると楽しい。iPhoneにも‘Scribble’という無料のお絵描きソフトがある。これもメモ代わりに使ってる。(Zintinが運営している) Text-to-Speech技術‘DEMO fall 08’にも、音声認識を使った面白いサービスを展開するベンチャー企業があったので紹介したい。 まず、‘Hey Cosmo’(‘Arsenal Interactive’という会社が運営している)。テキスト入力したセリフを自動音声に変換して色々なサービスを展開していて面白い。登録したレストランに、自動音声で電話をかけ、予約をしてくれるコンシェルジェサービスを展開している。このサービスが面白いのは、自動音声を使っているのが、「店」ではなくて「個人」である点だ。 サービスはこんな感じだ。「こちらは、鈴木ですが、2名で10日の18時から予約したい。そちらの予約状況を教えてください。(1)席がある、(2)席がない」これを聞いて、店側が電話の数字ボタンを押していく。断られると、次のリストに載せておいたお店に電話をする。予約が完了すると、本人に教えてくれる。 Hot Pepperやグルナビのように、お店に営業すれば、自動音声に慣れてくれるところも増えそうだ。メールで予約すればいいんじゃないかという声もあるが、電話だとその場で結果がすぐわかるので、嬉しい。 また、`Prankster`というサービスは、おいしくなかった寿司屋さん宛てに、自動音声で電話してくれる。その際、自分が言いたい文句をテキストで入力すると、それを読み取って電話してくれる。文句言いたいけど、自分で言うのは気がひける、っていう人にぴったりだ。 この動画は、‘Blaster’サービスのデモだ。友達何人かと飲み会や旅行を行くときの出欠を電話でやってくれる。 |
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