トレンド情報
トレンド情報 -トピックス[1996年]
<インターネット・パソ通・コンピュータ>

「1種キャリア、CATV事業者、
インターネット接続サービスに本格参入 他」

(96.03)

  1. 1種キャリア、CATV事業者、インターネット接続サービスに本格参入
  2. ブラウザ統合によるパソコン通信とインターネット融合の動き進む
  3. インターネット家電の計画が続々登場
  4. クレジットカードの電子決済規格が標準化へ前進
  5. 3Dオンラインサービスの動き進む


1.1種キャリア、CATV事業者、インターネット接続サービスに本格参入
−電話からコンピュータ通信へ構造変革を起こしつつある通信サービス−

 NTTは2月OCN構想の概要を発表したが、これに対抗する形で、日本テレコム、TTnet、OMPを初めとするNCCも、来年中にインターネットを軸とした低料金のコンピュータ通信サービスを開始する動きを見せている。米国においてもAT&Tがインターネット接続サービスで好調な滑り出しを見せる中、MCIもこれに対抗するサービス強化策を明らかにした。
 一方、CATV事業者も、関心の焦点が、VODからインターネット接続へとシフトする中、3月中に武蔵野三鷹ケーブルテレビ、伊豆急ケーブルネットワークがインターネット接続を目的とした第1種電気通信事業者の免許を取得を行っている。今年から来年にかけて多数の事業者がサービスを開始する予定である。
 このようなキャリアやCATV事業者による参入の脅威の前に、既存のインターネット接続プロバイダーは、生き残りをかけた競争を迫られている。ユニークな事業戦略として、ハイパーネットでは、広告を収入源とした、接続料無料のインターネット接続サービスを開始した。
 これらの動きは、長期的には通信サービスが電話サービスから統合的なコンピュータ通信へとシフトする大きな動きと捉えられるが、短期的にはそれがゆえの矛盾も生じてきている。米国では、米電話通信協会(ACTA−長距離電話会社等から構成されている)が、インターネットを使った音声通話の禁止を求める書簡を連邦通信委員会に提出する動きも見られている。キャリアにとっては、既存のサービスから新しいサービスへどのように事業をシフトしていくかが大きな課題になってきている。

2.ブラウザ統合によるパソコン通信とインターネット融合の動き進む
 インターネットとの融合化が急速に進みつつあるパソコン通信では、3月、ブラウザをめぐる提携が相次いだ。
 AOLとコンピュサーブは、3月11日ネットスケープと提携し、同社のネットスケープとブラウザの連携を図ることとなった。さらにAOLは翌日マイクロソフト社との提携も行い同社のインターネットエクスプローラー3.0にAOLのアクセス機能を統合する。
 一方、Compuserveと提携関係にあるニフティも、同社のNIFTY-Managerを次期バージョンではネットスケープナビゲーター等のWWWブラウザと連携できるようにするとともに、バックボーンネットワークのプロトコルのTCP/IP化も図る。
 パソコン通信では、このように端末レベルではWWWブラウザに、ネットワークレベルではTCP/IPに、コンテンツレベルではHTMLにと、徐々にインターネットとの融合化が進められてきている。パソコン通信とインターネットの融合が戦略上避けられなくなってきている状況の中で、とパソコン通信事業者は、ユーザーやIPを多数囲いこんでいるという優位性を失わないように、どのようにインターネットとの融合を進めるかが焦点になってきている。

3.インターネット家電の計画が続々登場
 オラクルの500ドルパソコン構想などで、家庭向けインターネット製品の市場が活性化してきている。その中で、インターネットを利用できるテレビの商品を、シャープ、日本ビクター、三菱電機、松下電器が実際に開発、ソニー、東芝等も商品化を検討している。 また、フィリップスはCD-Iをインターネット端末として位置づけた事業を欧米を中心に展開する。
 今後も様々な方面から家庭をターゲットとしたインターネット製品が登場しそうだ。

4.クレジットカードの電子決済規格が標準化へ前進
 ビザ、マスターおよびマイクロソフト等が統一したインターネット上のカード決済のための技術規格SETにアメックスも参加することになり、これで事実上の標準化が図られた形だ。

5.3Dオンラインサービスの動き進む
 オンラインサービスのトレンドである3D化への向けての動きが進んでいる。富士通は、ハビタットの次期バージョンであるハビタット2を3月22日から発売した。一方、凸版印刷・日商岩井は米ワールズ社に資本参加し、インターネット上の3D仮想空間サービスに乗り出す。
 VRMLの標準化も進んでおり、今後、各社から3Dオンラインサービスの提供が続きそうである。
(社会システム研究部 江原 豊)

(入稿:1996.03)

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