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Global Perspective 2012
2012年6月22日掲載

トルコ:Turkcellモバイルヘルス「SaǧlıkTakip Servisi」

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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2012年4月20日、トルコの通信事業者Turkcellはヘルスソリューションサービス「Turkcell SaǧlıkTakip Servisi」を発表した。「SaǧlıkTakip Servisi」とはHealth Monitoring Service(健康モニターサービス)のこと。

自宅から健康状態を病院へ送信

「Turkcell SaǧlıkTakip Servisi」は糖尿病、高血圧、ぜんそく、不整脈、慢性閉塞性肺疾患の方を対象にしたサービスで、利用者は家庭やオフィスにおいて血圧測定器などで測った情報(数値)を病院へ送付する。数値に異常が見られた場合には医師から健康状態確認のSMSなどが通知され、必要に応じて検診を受ける。
情報を送信するゲートウェイデバイスは、イスタンブール大学医学部と共同で開発した。
血圧測定器などの医療デバイスからゲートウェイデバイスへの通信はBluetoothや無線LANなど様々である。ゲートウェイから病院まではGSM網で送信している。利用者はボタンを押下するだけで情報は病院に24時間送付できる。デバイスにはM2M専用SIMカードが搭載されており、送信料は月2Mまで1リラ(約45円)から。現在、イスタンブール大学病院と提携して約500人が利用している。

トルコTurkcellは様々なM2M事業に注力しており、2011年にTurkcellのM2M事業がトルコ経済に与えた経済効果は約1.35億ユーロだったと報じられており、2012年には2倍になると予測されている。
同社の2011年決算は、スマートフォンの増加によるモバイルデータ通信収入が52%増加、音声収入も3%増加し、大幅な増収増益を達成している。

(図1)Turkcell SaǧlıkTakip Servisiのゲートウェイデバイス

Turkcell SaǧlıkTakip Servisiのゲートウェイデバイス

成長が期待されるモバイルヘルス市場

トルコのMarmara大学のAbdullah Bereket教授によるとトルコの成人の30%以上が太り過ぎか肥満で、子供でも10-15%が太り過ぎで、5-6%が肥満だそうだ。
なお日本も他人事でないことは厚労省のサイトで確認して頂きたい。

先進国を中心に高齢化や食生活の変化によって、モバイルヘルス(mHealth)市場は今後、大きく成長すると予測されている。アメリカでは2人に1人の成人がなんらかの慢性疾患を抱えている。また現在モバイルやITデバイスに接している人達が老齢化したら、ITやモバイルでの情報送受信に抵抗なく利用することが期待できることから、今後ますます成長するだろう。

IMS Researchの調査によると、2017年までに全世界で健康モニター機器は5,000万台出荷されると予測している。また2014年にはモバイルヘルス市場は約46億ドルに達し、今後25年で約1,970億ドルまで達するとの予測がある。

世界中で様々な医療・ヘルス分野においてモバイルで常時、健康状態を監視し病院・医師と接続され健康管理、病気チェック等ができるようになってきている。
「ヘルス」と「モバイル」の融合は全世界で始まっている。

【参考動画】「Turkcell SaǧlıkTakip Servisi」の説明ビデオ(2012年)

(参考)

*本情報は2011年6月20日のものである。

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