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情報通信 ニュースの正鵠
2008年12月掲載

2008年情報通信業界の10大ニュース

グローバル研究グループ 清水 憲人

 今年も残すところあとわずか。今回は「2008年情報通信業界の10大ニュース」をまとめてみたい。「『情報通信』ってどこまで含むんだ?」とか、細かいことはさておき、個人的に印象に残っているビッグ・ニュースをランキング形式で紹介していこう。

第1位 世界的な不況に突入−通信事業者も対応を迫られる

 米国のサブプライムローン問題を契機とした金融危機に端を発し、世界経済が「100年に一度」と呼ばれる不況に突入。不動産会社や金融機関などが相次いで破綻しているほか、米自動車メーカー・ビッグ3の経営危機が政治問題になるなど、その影響はますます広がりを見せている。一方、震源となった不動産の価格はもちろんのこと、株式、貴金属などの投資対象商品、さらには、ガソリン、穀物などの値段も大幅に値下がり。人々の日々の生活に必要な商品の値段までもが、投機マネーによって高騰していたことに改めて気づかされた。通信業界は、相対的に打撃の小さい分野に入るかもしれないが、AT&Tが従業員の4%、テレコム・イタリアが従業員の5%の人員削減を発表するなど、景気の悪化を見通した対応を迫られている。2000年にいわゆる「テレコムコムバブル」の崩壊を経験している通信業界だが、この不況で再び合理化に取り組む必要が出てきた。

第2位 IPTVサービスの躍進

 フランスでは6月にIPTV加入者数が500万に達した。これはフランスの全世帯の約2割に相当する。フランスのIPTVの多くはブロードバンド・サービスに付いてくる無料IPTVのため、500万世帯すべてが積極的にIPTVを視聴しているという訳ではないが、数としてはかなりのインパクトである。また米国でも通信事業者の提供するTVサービスの加入数が200万を超えた。こちらは、ケーブルTVサービスと同様に、月額50ドル程度の料金を支払うスタイルであり、その意味ではフランスよりも注目に値するかもしれない。日本では、NTTが3月にNGN(次世代ネットワーク)サービス「フレッツ光ネクスト」を提供開始し、地デジ再送信を含むTV放送の伝送が行われるようになった。IPTV技術自体は2000年頃から利用可能となっているが、これまでは一部の地域で提供されるニッチなサービスでしかなかった。2008年は、サービスとしてのIPTVが、広く認知され始めた年と言えるであろう。

第3位 米ヤフー買収を巡る騒動

 メディアの注目度で言えば、2008年情報通信業界最大のニュースはマイクロソフトによる米ヤフー買収騒動であろう。特に上半期は、買収を回避したいヤフー経営陣がグーグル、タイムワーナー、ニューズコープなど、さまざまな事業者との連携を模索したこともあり、連日のように関連ニュースが報じられていた。ヤフー経営陣は6月に、グーグルとの連携によってマイクロソフトの買収提案に対抗することを選択したが、規制上の問題から11月に破談。その後マイクロソフトと再交渉を望むも色よい返事をもらえず。経営判断を誤ったと非難されたジェリー・ヤンCEOは辞任した。ヤフーが今後どうなるのか、引き続き注目されるところ。

第4位 米国大統領選で民主党のオバマ候補が勝利−通信政策へも少なからぬ影響

 11月に米国大統領選が行われた。獲得した選挙人数はオバマ候補が365、マケイン候補が173で、実にダブルスコア以上の差を付けた圧勝。景気対策、国防(戦争)、エネルギー/環境、医療制度など、数多くの課題を抱える新政権にとって、通信問題のプライオリティは決して高くはない。しかし、オバマ次期大統領は12月6日に行った演説において、景気対策の一部として「情報スーパーハイウェイの刷新」を提唱した。通信政策にほぼ無関心であったブッシュ大統領とは違い、オバマ氏は情報通信分野にも一家言持っている。オバマ新政権下における米国の通信政策がどのように変化するのか、2009年の情報通信業界における注目点の一つだ。

第5位 日本でFTTH回線数がDSLを上回る

 2008年6月に日本のFTTHは1,308万回線となり、1,229万回線のDSLを上回った。世界のブロードバンドはまだ、DSLとケーブルモデムが大半であり、FTTH回線数が1,000万回線を越えている国は日本だけ。また提供される「下り最大1Gbps」のサービスは他に例を見ない高速サービス。他国では、速くても100Mbpsであり、米国のように10MbpsのサービスがFTTHの主流になっている国もある。そのため伝送速度の国際比較グラフを作成すると、日本だけ目盛り内に収まらないほど。日本が世界の中で突出したブロードバンド大国であることを改めて印象付けたニュース。

第6位 通信事業者のネットワーク・マネジメント慣行に対し、米加で異なる判断(ネットワークの中立性関連)

 米国では、大手ケーブルTV事業者のコムキャストが行っていたP2Pトラヒックに対する帯域制御が、「合理的なネットワーク・マネジメントの枠を超えている」として、通信規制当局FCCから是正命令を受けた(8月)。一方カナダでは大手通信事業者ベルカナダの同様の帯域制御が規制当局CRTCによって「問題なし」と判断された(11月)。両ニュースは、これまで抽象的な議論が中心であったネットワークの中立性問題に関して、通信事業者の実際の慣行について規制当局が判断を下す事例として注目を集めた。米加規制当局による対照的な判断は、同問題の難しさを浮き彫りにするものとなった。

第7位 iPhone 3Gの発売

 iPhone 3Gが7月11日に発売され、世界各国の携帯電話ショップやアップル・ストアに行列ができた。その後も販売は好調のようでウォールストリートジャーナルでも「iPhoneの販売が世界中で好調(日本を除き)」と報じられた。多くの国において、最先端の携帯端末として歓迎されたiPhoneだが、著しく多機能化が進んでいる日本の携帯端末市場では、「ユーザーインターフェースに優れたお洒落なケータイ」の一つでしかなかったということか。メディアの取り上げられ方など、印象的にはもっと上位でも良いのだが、iPhone自体の登場は2007年なのでこの順位。

第8位 ディスプレイの多様化

 1月に米国ラスベガスで開催されたCES(家電ショー)において、パナソニックが世界最大の150型プラズマディスプレイを展示した。一方10月に幕張で開催されたCEATEC Japanでは、ソニーが薄さ0.3mmの有機ELディスプレイを発表した。ここ数年繰り広げられてきた、TVディスプレイの大型化・薄型化の競争は、実用レベルを超えて技術の限界に挑戦し始めているようだ。またディスプレイの大型化に伴い、高精細映像表示の研究も進められている。ハイビジョンの4倍の解像度を持つ「4K」ディスプレイや、16倍の解像度を持つ「8K」プロジェクタも登場している。さらに、裸眼で見ることができる3Dディスプレイも実用レベルに近づいており、携帯端末に搭載できる小型3Dディスプレイも提案されている。ディスプレイの多様化は提供されるコンテンツの多様化につながり、通信インフラの役割が重要性を増しそうだ。

第9位 SaaSブーム

 2008年は、各所で「SaaS(Software as a Service)セミナー」が開催された年であった。SaaSとは、従来パッケージ・ソフトが提供していた機能を、インターネットを通じてサービスとして提供するもの。SaaS自体は以前からあるが、経済産業省と総務省が1月にガイドラインを公表したことや、NGNのキラー・アプリのひとつと期待されることなどから、最近になって注目度が上がってきている。買い切り型ではないため、常に最新の機能を利用できる点や、導入コストを抑制できることなどがメリット。

第10位 次世代ワイヤレス・サービスの提供開始が迫る

 2009年にはWiMaxと次世代PHS、2010年にはLTE。次世代ワイヤレス・サービスの提供開始が迫ってきた。これらの技術は、伝送速度数十Mbps〜数百Mbpsのブロードバンド・サービスを外出中でも利用可能にするもの。既に非常に多くの役割を果たしているケータイであるが、これら次世代ワイヤレス・サービスとの組み合わせで、さらに活躍の場面が広がりそうだ。

次点 グーグルの携帯OS「アンドロイド」を搭載した端末が発売開始

 10月に米国のTモバイルUSAが、グーグルの携帯端末用OS「アンドロイド」を搭載した携帯電話「G1」の発売を開始した。「オープン」な開発環境を提唱するアンドロイドによって、携帯端末のPC化がますます進展していくことになるのか?既存の携帯電話事業のビジネスモデルを変貌させる可能性を持つニュースとして、今後の動向が注目される。

 第1位が「世界的な不況に突入」なので、なんだか暗い印象となったかもしれないが、個々のニュースを見ていくと、2008年はIPTVやSaaSなど、通信業界にとって今後が期待される新しいビジネス・モデルが注目を集めた年、そして、ディスプレイや次世代ワイヤレスなど、技術進歩の恩恵が具体的に見え始めた年とまとめることができよう。また、オバマ次期米国大統領が景気対策の一環として「情報スーパーハイウェイの刷新」を掲げたように、経済全体の生産性向上につながる情報通信技術は、不況であることでさらに注目度が高まるという側面もある。今年の10大ニュースを彩ったさまざまな変化の兆しが今後どのような展開を見せるのか。 2009年も情報通信業界から目が放せない。

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